刃物鋼の種類|ナイフや包丁の材質の種類と特徴

2019年10月13日更新

刃物鋼とは、包丁やナイフ等のうち特に高品質なものに使用される鋼材の通称名で、数多くの種類があります。工業分野のJIS規格では、刃物鋼に相当する鋼材は主として「ステンレス鋼」「炭素鋼」「合金鋼」「工具鋼」に分類される鋼材に含まれますが、包丁に圧倒的に使用される頻度が高いのがステンレスをベースにした鋼種です。厳密には、ステンレスも「合金鋼」の一種となりますので、極論すると大分類では、炭素鋼か合金鋼が刃物鋼に適したグレードのある鋼の種類ということになります。

また刃物は一種類の鋼材だけでなく、サンドイッチのように刃の部分を両側から挟み込んで三層構造にしたクラッド鋼(三層鋼)や二種をはり合わせた二層鋼(着鋼)もよく使われます。さらに、高級刃物用には、JIS規格から一歩抜きん出た特徴を持つ独自名称の鋼種を鋼材メーカーが開発しているため、それらもよく使われます。

包丁の材質の見方|全鋼か、複合材か

包丁やナイフ等の刃物の材質を見る場合、刃の断面図でいうと、諸刃と片刃の違いのほか、一種類の鋼材から作られている全鋼タイプと、二種以上の鋼材を組み合わせた複合材タイプのものがあります。

包丁を選ぶ際に、刃金と地金で違う材質の表記があるのはこうした事情からです。二種以上の金属を組み合わせたクラッド鋼の場合、両方の金属のメリットを引き出し、それぞれの鋼材が持つデメリットをなるべく軽減しようとする意図があります。

たとえば、非常に硬い鋼種は錆に対してはあまり強くない傾向があるため、刃金の部分に硬い鋼種を入れ、地金の部分には錆に強いタイプの鋼種ではさんでやる、というような使い方です。例としては、刃の中心となる刃金にダイス鋼やハイス鋼などの合金鋼を用いて、それを挟み込む地金には、耐食性に優れた部類のステンレス鋼を用いる、という具合です。

全鋼の包丁は、研ぎ続ければ使い続けられることができますが、複合材の場合、下図の割り込みや付け鋼と呼ばれるタイプの場合、芯に入っている刃金が「切断」を担当しますので、研いでいるうちにこれらがなくなってしまうと、本来の切れ味を維持できなくなります。

包丁に使われるクラッド鋼、諸刃と片刃 包丁の諸刃と片刃

刃物に使われる金属の種類

刃物に使われる金属は、ステンレス鋼のほか、細分類してみていくと、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、粉末冶金鋼、複合鋼、チタン合金など豊富な種類があります。金属以外でも、金属探知機にかからないことで軍事分野での特殊部隊や工作部隊等での使用が囁かれるカーボンファイバー製の刃物、プラスチック製のナイフもあります。

また市販されているものとしては、硬さに優れたセラミックス製のものもあります。ここでは刃物用の金属として最もポピュラーなステンレス鋼とそこから派生した刃物鋼を中心にその種類を見ていきます。

その前に、刃物に使われる金属に最適なものは本当にステンレス鋼なのか、またステンレス鋼の中でも何が最適なのか、あるいは刃物として最強の金属は何かという点も気になります。

硬いものほど脆い|切る対象によって使い分けが必要

すべての素材に対していえることですが、硬いものほど衝撃を受けた際にはもろくなる傾向があります。セラミックス、ガラス等はその典型で、硬くてもろいことから、硬脆材料(こうぜいざいりょう)等といわれることもあります。力を受けたときに、衝撃を受け止めるキャパシティがあまりなく、耐えるか割れるかの二択になるのがこうした材料です。

鉄鋼のなかで特殊鋼に相当するステンレスについても同様で、熱処理で硬くしたステンレス材料は、靭性(ねばり)がなくなるため、限度を超える力や衝撃がかかると折れたり、欠けたりしてしまいます。

刃物用としてはどうしても「硬さ」を優先した材料が選ばれますが、その中でもさらに細かく硬度と靭性、耐摩耗性、耐食性(錆への強さ)といった点のバランスを取るため、さまざまなステンレス鋼材が開発されてきました。

こうした事情から万能の刃物、あらゆるシーンで最強の刃物というのは残念ながら難しく、いろいろなシーンで使いやすい汎用性の高い刃物、包丁、ナイフはありますが、それぞれの用途に特化したものには極論すると性能面で及びません。

これは大きな部分では、靭性(ねばり)を優先した設計なのか、硬さを優先した設計なのかという点の違いです。両者は相容れない関係にあるため、硬さを優先すれば、靭性は損なわれます。逆も然りで、靭性(ねばり)のある材料は、硬さを極めた材料には硬度でかないません。

包丁メーカーによって、自社製品のうち、冷凍品の切断や、肉や魚の骨などの硬いものを切断するのに向いている、向いていないといった表記をしているのもこれが理由です。

どんな用途にも向いた最強の刃物というものはないのが現状です。こうした中、錆に強く、硬度や靭性、耐摩耗性のバリエーションが多いステンレス鋼をベースにした鋼材が刃の材質としてよく使われる傾向があります。

包丁や刃物に使われる人気のステンレス鋼材

ステンレスは100種以上の鋼種が実用化され流通していますが、刃物に使われるステンレスはどのような種類のものでしょうか。これらは調理用具であるステンレスボウルや食器類、タンブラー、フォークやナイフ、あるいは台所のシンクなどと同じ種類でしょうか。

結論からいえば、刃物用として使うのに適したステンレス鋼はありますので、求めるブレードの性質によって最適なものを選んでいく形になります。

硬いものを切断する場合は、靭性と呼ばれる「ねばり」にも似た性質に長けたものを選ぶ必要があり、一方で刃持ちのよさ、刃の切れ味の寿命等を重視するならば硬さや耐摩耗性に優れた性質のものを選ぶ必要がある等、刃物の使用する環境や方法、用途や切断する対象によっても変わってきます。本来、刃物としての使用に適さないステンレスや鉄鋼もあり、品質度外視の廉価な製品については、こうした素材が使われていることもあります。

高級刃物用のステンレス鋼の世界

実際のところ、ステンレスはその種類によって価格にかなりの差があり、ステンレスの名称がついていても、その種類が異なれば目的とする性能にも違いがあります。高ければよいというものでもなく、目的にかなったステンレス鋼を使ったものがよい道具となります。

ステンレス鋼材の価格はよく市場で取引されているかどうかといった流通性によっても変わりますので、価格だけでなく鋼材の特性を見極めて選択する必要があります。ただ、一般に市販されている刃物の場合、高価なものほど性能の高い鋼材を使っている可能性が高いです。

ステンレスごとの特性は、硬さや耐摩耗性、切れ味、錆に対する強さである耐食性、同じ耐食性でも高温で強いか、低温で強いか、薬品に強いか、ステンレスの弱点である塩類に強いか等のバリエーションがあります。

ステンレスの5系統

基本、刃物としての使用で優れた性能を持っているステンレスはマルテンサイト系のステンレスです。ステンレスの種類は大きく分けると、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、二相系、析出硬化系の5系統があります。

簡単にまとめると、これら5つの系統のステンレスは以下のような特徴があります。

マルテンサイト系
硬さを最大の特徴とします。焼き入れ・焼き戻しによって硬化するので、高強度が求められる用途にも使われます。耐食性、耐熱性が必要な用途にも用いられますが、錆に対する強さである耐食性については、フェライト系やオーステナイト系に劣る傾向があります。最高の硬さを得られることから、高級な刃物によく使われます。

代表的なステンレス

オーステナイト系
クロムとニッケルを鋼材に含むタイプです。最もよく使われるステンレスで、加工しやすい反面、硬さや強度は他のステンレスに劣る傾向があります。焼き入れても硬化しません。耐熱性も良好です。錆びにくさである耐食性や耐酸性については、マルテンサイト系より優れています。磁石にはつかない非磁性ですが、冷間加工などを行うと弱い磁性を持つことがあります。硬さを求められない食器などの用途はこちらが使われます。

代表的なステンレス

フェライト系
クロムを鋼材に含むタイプです。熱処理しても硬化があまりないので、焼なまし状態で使用されます。マルテンサイト系よりも耐食性は優れますが、オーステナイト系ほど錆には強くありません。ただし、オーステナイト系のステンレスよりも硫黄を含むガスに対しての高温耐食性や、塩化物に対して強い傾向があります。薄板や線材の形でよく流通しています。価格はステンレスの中では割安なものがあります。廉価な部類であることから、フォークやナイフなどのカトラリー、食器など、強靭さと硬さが要求されない用途で使われることがあります。

代表的なステンレス

二相系
オーステナイト系とフェライト系の二つの組織をもつステンレスで、双方で持っていた欠点やメリットを補完する性能もあり、高強度、高耐食のステンレスです。磁石にはつきます。化学プラントやケミカルタンカーにも使用されます。

代表的なステンレス

析出硬化系
熱処理によって硬化させたタイプのステンレスで、高い硬度があります。オーステナイト系は熱処理で硬化しませんが、それを硬化するように改良したステンレス鋼となります。硬くしたかわりに、耐食性は劣ります。

代表的なステンレス

刃物に最適なマルテンサイト系ステンレス

マルテンサイト系ステンレスの中でさらに分類すると炭素量(カーボン)をどの程度含むかによって、高C(高炭素)タイプ、中Cタイプ、低Cタイプに分けることができます。さらにクロム量の割合でも分けることができます。ごく単純化していえば、炭素が多いほど硬くなりますが、反面、もろくもなります。

刃物鋼に適したマルテンサイト系ステンレスの一覧
炭素量のタイプ 主なマルテンサイト系の種類 特徴
低Cマルテンサイト SUS403, SUS410, SUS410S, SUS410J1 他の系統のステンレスの比べると磨耗性や硬さの面で優れるが、炭素量の多い他のマルテンサイト系の中ではやわらかめ。
中Cマルテンサイト SUS420J1, SUS420J2, SUS431, SUS429J1, SUS420, SUS431 洋食器関係の刃物としてはこのタイプのステンレスが多い。SUS410等に比べて炭素量が高いので、焼き入れ後に硬くなる。SUS440シリーズに比べると切れ味や耐食性の面で劣る。
高Cマルテンサイト SUS440A, SUS440B, SUS440C 耐磨耗性が最も高い。SUS440Cは全ステンレスでもっとも硬い。ベアリングやノズルにも使用。SUS440A, SUS440Bは刃物やゲージ、ベアリング、弁等に使用。ねばり強さの指標である靭性はA, B, Cの順で小さくなる。硬さもA, B, Cの順で硬くなる。
 

刃物鋼は独自の世界

刃物として使用されるステンレス鋼では、硬さに優れているマルテンサイト系のうち、SUS420のものが主流です。但し、下表のとおり、各鋼材メーカーでは高級刃物鋼として独自の改良を加えており、日立金属のヤスキハガネ、武生特殊鋼材のV金、愛知製鋼のステンレス鋼AUS−10、AUS−8、AUS−6M、AUS−1等、大同特殊鋼のDSR1K7、DSR1K9、DSR1K11、いずれも特徴ある刃物用途に最適なステンレス鋼を上市しています。

特にこれら日本の高級刃物鋼材は、世界的にも評価が高いことで知られ、有名カスタムナイフメーカーや調理器具メーカー、刃物メーカーで採用されています。

難しいのは、刃物鋼にはナイフメーカーや刃物メーカーなどのブランドを持つ製造元が、独自に鋼材の名称をつけて、刃物を販売することがあり、いったいどのメーカーのどの鋼種を使っているのかにわかには判別し難くなっている点です。加えて、各種の高級、高品質の刃物は使用している鋼材自体がブランド価値や製品価値を高めることもあり、独自の通称名も宣伝に使われ、鋼材の種類がわかり難くなってはいます。

冒頭にも述べたとおり、刃物鋼のカテゴリーとしては、ステンレス鋼、炭素鋼、合金鋼、工具鋼のいずれかとなります(あるいはこれらを組み合わせたものです)。

刃物鋼の種類の一覧

ステンレス鋼の定義は、炭素量1.2%以下、クロムを10.5%以上含むとなっており、大部分の刃物鋼はこの定義に該当します。その他、炭素鋼、合金鋼の分類となります。

刃物用の代表的なステンレス鋼、炭素鋼、合金・工具鋼
刃物鋼の名称 鋼種 メーカー 特徴、概要
モリブデンバナジウム鋼 ステンレス鋼 特殊鋼メーカー ステンレス鋼をベースに、モリブデンやバナジウムを合金元素として添加することで強化したもの。刃物鋼の多くはこのタイプとなる。
シャガール鋼 ステンレス鋼 特殊鋼メーカー ステンレス鋼や合金鋼のうち、コバルトを含む鋼材についての通称名。COS25やコバルト鋼とも呼ばれる。ほとんどがステンレス鋼に分類される。コバルトは粘り強さ、耐食性、耐熱性を付与する合金元素。
INOX鋼 ステンレス鋼 各欧州系メーカー フランス語でステンレスのことをinoxydableというが、その冒頭INOXをとってつけられている通称名。つまりステンレス鋼のことだが、特にヨーロッパ、スウェーデン産のステンレス鋼材のことをINOX鋼と呼称して区別することがある。
DSR1K2 ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.2%のステンレス鋼。SUS420J1相当 機械部品、モーターシャフト用。大同特殊鋼の独自鋼種でKの文字が入ったものは、刃物用に適した鋼種。
DSR1K3 ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.3%のステンレス鋼。SUS420J2相当 洋食器ナイフが用途。
DSR1K6  ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.6%のステンレス鋼。モリブデンを0.1%添加、合金元素を添加。ステンレス包丁、ナイフに用いられる。
DSR1K7  ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.7%のステンレス鋼。モリブデンを0.1%添加、合金元素としてバナジウムを添加。高級ステンレス包丁、かみそり替え刃、外科用メス。いわゆるモリブデンバナジウム鋼とも呼ばれる。
DSR1K8  ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.8%のステンレス鋼。モリブデンを0.1%添加、合金元素を添加。耐食用軸受、直線軸受、マイクロシャフト、刃物用途。炭素が多くなるため、かなり硬くなってくる。
DSR1K9  ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量0.9%のマルテンサイト系ステンレス鋼。モリブデン0.13%、バナジウム0.13%を添加。
DSR1K11  ステンレス鋼 大同特殊鋼 炭素量1.1%のマルテンサイト系ステンレス鋼。モリブデン0.13%、バナジウム0.13%を添加。
V金1号、VG1 ステンレス鋼 武生特殊鋼材 0.95から1.05%の炭素を含む高炭素型のステンレス鋼。モリブデンを0.20から0.40%含む。モリブデンは合金元素として焼き入れ性、焼き戻し時の軟化、焼き戻し脆性の減少、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、引張強度の向上に関与する。
V金2号、VG2 ステンレス鋼 武生特殊鋼材 V金シリーズとしては炭素量は低い0.60%から0.70%のステンレス鋼。他のグレードより硬度よりも靭性や耐食性を優先。
V金5号、VG5 ステンレス鋼 武生特殊鋼材 炭素量は0.70から0.80%のステンレス鋼でこのグレードからバナジウムが添加され、耐摩耗性の向上がはかられている。
V金10号、VG10 ステンレス鋼 武生特殊鋼材 V金シリーズの雄。ステンレス鋼に合金元素であるモリブデン0.80から1.20%、バナジウム0.25から0.35%、コバルト1.30から1.80%を添加した刃物鋼。0.95から1.05%の炭素を含む高炭素型で、硬度をあげており、バナジウムは耐摩耗性を向上させる合金元素。モリブデンの量も多く、高温での焼き入れ、耐熱性の向上、引張強度アップもはかられている。変形にも強い。コバルトは粘り強さ、耐食性、耐熱性を付与する。
コバルトスペシャル ステンレス鋼 武生特殊鋼材 ステンレス鋼に、モリブデン1.00から2.00%、バナジウム0.20から0.30%、タングステン0.20から0.30%、コバルト2.00から3.00%を添加した鋼種。コバルト鋼と呼ばれることもある。
AUS−10 ステンレス鋼 愛知製鋼  SUS420J2相当鋼に炭素を増加、モリブデンを添加、硬さ、耐摩耗性をさらにあげたもの。SUS440Cに類似。
AUS−4 ステンレス鋼 愛知製鋼  SUS420J2相当鋼(13Cr鋼)の炭素量を増やし、焼入硬化性をさらにあげたもの
AUS−7 ステンレス鋼 愛知製鋼  SUS420J2相当鋼(13Cr鋼)の炭素量を増やし、モリブデンを添加したもの
AUS−8 ステンレス鋼 愛知製鋼  SUS420J2相当鋼に炭素を増加、モリブデン、バナジウムを添加したもの。SUS440Bに類似。
AUS−6M ステンレス鋼 愛知製鋼   SUS420J2相当鋼に炭素を増加、モリブデン、バナジウムを添加したもの。SUS440Aに類似。
AUS−1 ステンレス鋼 愛知製鋼  SUS420J2相当鋼の炭素量を減らし、窒素添加して耐食性の向上と靭性の向上を狙った鋼種。
SLD鋼 合金鋼 日立金属 JIS規格でのSKD11に相当する鋼。これは冷間ダイス鋼とも呼ばれ、工業用のシャー刃、冷間金型、フォーミングロール用だが、高級刃物の刃金としても使われる。この場合、3枚あわせの諸刃として中心にSLD鋼、両側を別のステンレス鋼で挟み込むクラッド鋼として使われる。
銀紙1号 ステンレス鋼 日立金属 銀紙5号のクロム量を増やしモリブデンを添加して耐食性をあげたもの
銀紙3号 ステンレス鋼 日立金属 銀紙5号に炭素をさらに増やし硬度を上げたもの
銀紙5号 ステンレス鋼 日立金属 SUS420の炭素量を増やし不純物を低減させ、硬さ・靭性を上げた鋼種
ATS34 ステンレス鋼 日立金属 銀紙3号にモリブデンを添加することで耐食性、硬度をさらに上げたもの
ZDP189 ステンレス鋼 日立金属 ATS34にさらに炭素とクロムを増加・粉末化。同社の高級刃物用ステンレス鋼としては、最高の硬度・耐摩耗性を誇る。切れ味が長続きする一方、粉末冶金鋼であるため、研ぐのは難しいとされる。
白紙1号 炭素鋼 日立金属 白紙2号の炭素量を上げて硬さを上げるかわりに靭性を下げたタイプ
白紙2号 炭素鋼 日立金属 黄紙2号の不純物をさらに低減したタイプの炭素鋼
白紙3号 炭素鋼 日立金属 白紙2号の炭素量を下げて靭性を上げ、硬度を低下させた炭素鋼
白紙鋸材 炭素鋼 日立金属 白紙3号と同種のコンセプトで最高級付鋸用。
黄紙2号 炭素鋼 日立金属 JIS規格の工具鋼であるSK材の不純物を低減したベーシックな炭素鋼。
青紙1号 合金鋼 日立金属 青紙2号の炭素量を増やして硬さをあげて靭性を下げたもの
青紙2号 合金鋼 日立金属 白紙2号にタングステン、クロムを添加し耐摩耗性や焼き入れ性を向上、研削性を下げたもの
青紙スーパー 合金鋼 日立金属 青紙1号の炭素、クロム、タングステン量を増やして硬さや耐摩耗性をさらにあげる代わりに、研削性を低下させたもの
KK 合金鋼 日立金属 最高級の刃物や安全剃刀刃用。クロムを含有。
スウェーデン鋼 合金鋼 欧州、スウェーデンのメーカー スウェーデンの合金鋼、工具鋼メーカーで生産される鋼種の総称であり、各メーカーごとに特色ある鋼材がある。サンドビック社のSandvik 12C27, 12C27M, 13C26, 19C27の他、SSAB(スウェーデン・スティール社)、金型用のSTAVAX材で知られるボーラー・ウッデホルム社等も著名なメーカー。
O1 合金鋼 各メーカー 米国の鋼材規格となるAISIに規定されている鋼種。O-1とも表記される。DIN 1.2510やJIS規格のSKS3に相当。マンガン、クロム、タングステンを含む合金鋼。変形に強く、金型やゲージ、シャー刃にも適している。

スポンサーリンク

>このページ「刃物鋼の種類|ナイフや包丁の材質の種類と特徴」の先頭へ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集