SCPH11の材質と成分、比重、機械的性質|高温高圧用鋳鋼品−モリブデン鋼鋳鋼品
SCPH11はモリブデン鋼の鋳鋼品で、高温高圧用の部材での使用を想定した材料の一つです。具体的にはバルブのボディーやケーシングなどを想定した用途です。
他の規格で近い成分をもつ材料としては、SB材の一つで、ボイラ圧力容器用のモリブデン鋼であるSB450Mが似通った組成をしています。ただしこちらは最低引張強さによる規定となり、炭素量も材料の厚さによって異なる規定となります。
モリブデンは添加されることで鉄鋼材料の高温強度を高める働きがあります。
SCPH11の比重
比重については規定はありませんが、成分から概算を算出する場合は、下記の計算式があります。
鉄鋼材料の基本となる比重である7.876を基準に、含有している炭素量から概算を割り出す方法です。
- 比重=7.876−0.030×炭素(%)
基本的に、鋼材の成分はとりべ分析値になるため、実際の鋼材との間には多少の誤差やバラつきがでることもあります。
SCPH11の成分、材質
材料記号 | C | Si | Mn | P | S | Cr | Mo | V |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SCPH11 | 0.25以下 | 0.60以下 | 0.50から0.80 | 0.040以下 | 0.040以下 | - | 0.45から0.65 | - |
成分上、SCPH11の不純物の上限値
材料記号 | Cu | Ni | Cr | Mo | W | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
SCPH11 | 0.50以下 | 0.50以下 | 0.35以下 | - | 0.10以下 | 1.00以下 |
SCPH11の機械的性質
材料記号 | 降伏点、耐力 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
伸び % |
絞り % |
---|---|---|---|---|
SCPH11 | 245以上 | 450以上 | 22以上 | 35以上 |
「JIS G 5151 高温高圧用鋳鋼品」(1991年改訂)に規定のある材料記号
総じて高温高圧用の炭素鋼鋳鋼品の規格といって差し支えないですが、厳密には炭素鋼の中でも以下のようにクロモリ鋼に相当する鋳鋼品があります。
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