SLA365の成分、比重、材質、機械的性質、溶接性|JIS規格による低温圧力容器用炭素鋼鋼板

2014年8月19日更新

SLA365の特徴

SLA365は低温用圧力容器鋼板で、炭素鋼を素材とした鋼板です。キルド鋼をベースに製造されている熱間圧延鋼板でもあります。低温環境においては鋼は強度が弱くなることが知られており、常温では破壊されないような負荷でも、低温では壊れてしまうことがあります。SLAの365は、降伏点が365MPa以上であることを示しています。圧力容器用ということもあり、組成についても、不純物が極力排除された成分構成です。

SLA365の成分、材質

SLA365の成分
鋼板の種類 C(炭素) Si(ケイ素) Mn(マンガン) P(リン) S(硫黄)
SLA365 0.18以下 0.55以下 0.80から1.60 0.025以下 0.020以下

SLA365の比重

低温圧力容器用炭素鋼鋼板の質量については、熱間圧延鋼板の規格で規定されているものが適用されます。他の鋼板と同様、7.85(厚さ1mm、面積1m2の質量)が標準となりますが、比重は成分比によっても変わります。

SLA365の機械的性質|耐力、降伏点、引張強さ、伸び、曲げ性

SLA365の耐力、降伏点、引張強さ、伸び、曲げ性
鋼板の種類 降伏点、耐力(N/mm2 引張強さ(N/mm2 伸び 曲げ性
厚さ(mm) 試験片 曲げ角度 内側半径 試験片
SLA365 365以上 490から610 6以上16以下
16を超えるもの
20を超えるもの
5号
5号
4号
20以上
28以上
20以上
180° 厚さの1.5倍 1号、圧延方向に直角

SLA365のシャルピー吸収エネルギー|衝撃試験温度

SLA365のシャルピー吸収エネルギーの下限値
板厚 衝撃試験温度 シャルピー吸収エネルギーの下限値 試験片と試験片の採取方向
6ミリ以上8.5ミリ未満 8.5ミリ以上12ミリ以下 12ミリを超え20ミリ以下 20ミリを超えるもの
SLA365 -60℃ -50℃ -45℃ -55℃ 最高吸収エネルギー値(三個の試験片の脆性破面率がいずれも0%となる温度での吸収エネルギーの平均値。通常は常温)の2分の1 Vノッチ圧延方向

SLA365の溶接性|炭素当量、溶接割れ感受性組成

炭素当量は0.38以下、溶接割れ感受性組成は0.23以下となります。

溶接性を見るため炭素当量、溶接割れ感受性組成の計算式はそれぞれ以下の式の通りで、これらに成分値をあてはめることで計算できます。

炭素当量(Ceq)

炭素当量

溶接割れ感受性組成(PCM)

溶接割れ感受性組成

「JIS G 3126 低温圧力容器用炭素鋼鋼板」に規定のある材料記号

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