SCMnCrM3の材質、成分、耐力、引張強さ、硬度|SCMnCrM3の機械的性質と特性
SCMnCrM3は炭素鋼にマンガン、クロム、モリブデンを添加した合金鋼の鋳物です。同種の鋳物の中では、もっとも強度が強い部類になり、構造用のほか強靭用としての利用が想定された規格です。焼き入れ焼き戻し状態での引張強さの下限値は830MPa以上となっており、同規格でこれよりも強いものは、SNCM材の鋳物であるSCNCrM2の880Mpa以上というものしかありません。
SCMnCrM3の成分、材質
鋳鋼の種類 | C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SCMnCrM3 | 0.30から0.40 | 0.30から0.60 | 1.20から1.60 | 0.040以下 | 0.040以下 | - | 0.30から0.70 | 0.15から0.35 |
SCMnCrM3の熱処理後の機械的性質|降伏点、耐力、引張強さ、伸び、絞り、硬度
鋳鋼の記号末尾についているAは焼ならし焼戻しを、Bは焼入れ焼き戻しの熱処理を行った材料であることを示しています。
鋳鋼の種類 | 熱処理 | 降伏点、耐力 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
伸び (%) |
絞り (%) |
硬さ HB |
---|---|---|---|---|---|---|
SCMnCrM3A | 焼ならし焼戻し | 540以上 | 740以上 | 9以上 | 25以上 | 212以上 |
SCMnCrM3B | 焼入れ焼き戻し | 635以上 | 830以上 | 9以上 | 25以上 | 223以上 |
「JIS G 5111 構造用高張力炭素鋼及び低合金鋼鋳鋼品」に規定のある材料記号
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