はだ焼鋼とは

2013年9月10日更新

鋼材はほとんどが焼き入れや焼き戻しなどの熱処理をすることで硬度や強度をあげ、応力を除去するなどして安定化させてから実際の部品や構造材として使われます。

はだ焼きとは、この鋼材の表面(肌)だけに熱処理をしたタイプのことを意味します。反対に芯まで熱処理するような方法は、俗にズブ焼きといいます。

鉄鋼材料に限った話ではありませんが、「硬さ」と「強度(特に折れにくさ、ねばり強さ)」というのは両方は成立しません。とにかく硬い材料は、強力な衝撃を受けるともろく折れてしまったり、破壊されてしまいます。反対に、ねばり強い材料、靭性(じんせい)があるという言い方がなされますが、こうした材料は衝撃に強いかわりに、あまり硬さがありません。磨耗に対する強さ、耐磨耗性は硬さに比例していくため、このような靭性は優れていても、硬度があまりない材料は磨耗や摩擦に弱いというデメリットがあります。

はだ焼きというのは極端に言えば、この硬さと、強度を両立させようとした熱処理の技術です。鋼材の表面だけを炭素量を多くし、硬度を上げ、芯の部分は生材と同等のねばり強い状態にして残しておくことで、外はカリカリ、中はモチモチといった状態にします。

はだ焼き鋼の多くが硬度と強度を両立させているのはこのためです。ただ、どちらかを極めたような鋼材には及ばないため、両者のバランスをとった合理的な鋼材の一つとも言えます。

鉄鋼材料のJIS規格では、肌焼き専用の鋼材も規格化されており、例えば以下のようなラインナップがあります。

JISにおける主な肌焼き鋼
鋼材の記号 鉄鋼の種類
S09CK 炭素鋼
S15CK 炭素鋼
S20CK 炭素鋼
SCM420 クロモリ鋼
SCM425 クロモリ鋼
SCM822 クロモリ鋼
SNC415 ニッケルクロム鋼
SNCM815 ニッケルクロムモリブデン鋼
   

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