SPV355の成分、材質、比重、引張強さ、降伏点などのJIS規格|工業材料として見たSPV鋼材
SPV355は、圧力容器用の鋼材としてJIS規格に規定されている材料記号の一つです。SPV材ともいいます。圧力容器用だけあり、破壊強度をみるための様々な規定が盛り込まれている為、圧力容器以外にも使われることもあります。規定では、熱加工制御を行うこともできるグレードとなっており、この場合は、溶接性の向上や低温脆性の向上等が規定できます。
適用される鋼板・鋼材の厚さの範囲は6ミリ以上、150ミリ以下となります。組成から、低炭素のシリコンマンガン鋼とも呼べます。
溶接性と強度を見るための指標が豊富であることから、コスト次第で圧力容器以外にも使われます。
なお、SPVの記号内にある355という数字は、満たさねばならない降伏点(耐力)の下限値をMPaで示したものです。引張強度については、常温で520から640MPaとなり、破壊強度についてよく考えられた材料です。
SPV355の比重
比重については熱延鋼板と同様の7.85がベースとなりますが、構成成分によって厳密には変わってきます。
SPV355の成分、材質
SPV材の種類 | C | Si | Mn | P | S |
---|---|---|---|---|---|
SPV355 | 0.20以下 | 0.55以下 | 1.60以下 | 0.030以下 | 0.030以下 |
SPV355の機械的性質
SPV鋼材の種類 | 降伏点、耐力(N/mm2) | 引張強さ (N/mm2) |
伸び | 曲げ性 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
厚さ6ミリ以上50ミリ以下 | 50ミリを超え100ミリ以下 | 100ミリを超え200ミリ以下 | 厚さ(ミリ) | 試験片 | % | 曲げ角度 | 内径半径 | 試験片 | ||
SPV355 | 355以上 | 335以上 | 315以上 | 520から640 | 16以下 | 1A号 | 14以上 | 180° | 厚さの1.5倍 | 1号 |
16を超えるもの | 1A号 | 18以上 | ||||||||
40を超えるもの | 4号 | 21以上 |
SPV355のシャルピー吸収エネルギー
低温にし、耐衝撃性を見るための指標となります。試験片はVノッチ、圧延方向のものになります。
SPV鋼材の種類 | 試験温度(℃) | シャルピー吸収エネルギー | |
---|---|---|---|
3個の試験片の平均値 | 個々の試験片の値 | ||
SPV355 | 0℃ | 47以上 | 27以上 |
SPV355の炭素当量|熱加工制御
炭素当量(Ceq)の計算式は下記が適用されます。
SPV鋼板の種類 | 厚さ | ||
---|---|---|---|
50ミリ以下 | 50ミリを超え100ミリ以下 | 100ミリを超え150ミリ以下 | |
SPV355 | 0.40以下 | 0.42以下 | 0.44以下 |
SPV355の溶接割れ感受性組成|熱加工制御
溶接割れ感受性組成(Pcm)の計算式は下記が適用されます。
SPV鋼材の種類 | 厚さ | |||
---|---|---|---|---|
50ミリ以下 | 50ミリを超え75ミリ以下 | 75ミリを超え100ミリ以下 | 100ミリを超え150ミリ以下 | |
SPV355 | 0.26以下 | 0.27以下 | 0.27以下 | 0.29以下 |
「JIS G 3115 圧力容器用鋼板」に規定のある材料記号
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