湿食と乾食の違い

2017年12月25日更新

錆とは、腐食が進んだ際に作られる「腐食生成物」のことですが、この錆びの原因となる腐食にもいくつかの種類があります。そのもっとも大きな分類がこの湿食と乾食です。それぞれ、湿食は「しっしょく」、乾食は「かんしょく」と読みます。腐食の種類は数多くありますが、まずはこの湿食と乾食に分類することができます。その中でさらに細かい分類に分かれていくことになります。

湿食とは、湿気、つまり水分が関わる腐食のことを意味します。反対に、乾食とは水が関わらない腐食のことを意味します。

錆が発生するには、水と酸素が必要だというのは一般的によく知られているので、湿食については特に違和感をもたれる方は少ないでしょう。一方で、水が必要ではない乾食というのは、高温環境で発生する腐食で、具体的には鉄のフライパンや鍋、南部鉄瓶などでも見られる「黒錆」をイメージすると分かりやすいです。黒錆は、高温で熱せられることで鉄の表面が酸化して黒い錆がついたものです。鉄の場合、水によって錆びていく湿食である赤錆とは異なるものです。

したがって、乾食の定義としては鉄などの素材が直接酸素や周囲のガスと反応することで進行する腐食ということができます。酸素以外のガスであっても、高温環境では金属と反応して乾食が進むことがあります。

湿食と乾食の違い
腐食の分類 特徴
湿食 水が関わる腐食。もっとも多岐にわたる腐食の大部分はこの湿食。一般的な腐食の進行は、水を媒介にしたイオンのやり取りによる電気化学反応として説明される。通常の環境では、水に溶けた酸素や水素とともに腐食が進む。酸素を消費する酸素消費型腐食と、水素イオンが酸化剤として作用する水素発生型腐食の二つが知られている。腐食の分類としては、湿食はさらに全面腐食と部分腐食に分かれる。
乾食 腐食の発生に水が関わらないタイプの腐食。酸素や周囲の雰囲気の元素と、金属が直接反応して腐食が進んでいく。高温環境で起きる。この際、周囲の酸素だけでなく、高温ガスと金属が反応することもあるため、酸素がない環境でも起きることがある。乾食は、さらに高温酸化と高温腐食に分けられることがある。高温酸化は、鉄の黒錆やスケールなどとして身近でも見られるが、高温腐食は、硫化腐食や窒化、浸炭酸化、高温ハロゲン腐食など腐食性のガスによって起きるものであり、化学プラントなど特殊な環境下で発生する。

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