プラスチックリサイクルマークの数字の意味と種類
プラスチックのリサイクルマークには三角図形の中心に数字が入っており、この数字はプラスチックの種類を意味しています。数字の意味と示しているプラスチックの材質は下表の通りとなります。
後述する通り、日本ではPETボトルに表示が義務付けられている1と、プラ容器につけるプラマークの2種のみに統一されているため、これら以外の数字がついている製品は米国製・海外製か、統一前のリサイクルマークということになります。
番号 | リサイクルマーク | リサイクルマーク(別パターン1) | リサイクルマーク(別パターン2) | 材料記号 | プラスチックの種類 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | PET | ポリエチレンテレフタレート | ペットボトル、絶縁材料、光学用機能性フィルム、磁気テープ、写真フィルム、包装フィルム、食品容器、飲料カップ、クリアホルダー、各種透明包装(APET)、合成繊維 | |||
2 | HDPE、PE-HD | 高密度ポリエチレン | 食品容器や各種フィルム、袋、シャンプー容器、バケツ、ガソリンタンク、灯油缶、コンテナ、パイプ、射出成形材料全般、雑貨全般、工業部品、発泡材、パイプ、ブロー成型品、ラミネート包装の内面 | |||
3 | PVC、V | ポリ塩化ビニル | 上・下水道管、継手、雨樋、波板、サッシ、床材、テレビのキャビネット、壁紙、ビニルレザー、ホース、農業用フィルム、ラップフィルム、電線被覆、パイプ、波板、合成皮革(レザー)、フィルム | |||
4 | LDPE、PE-LD | 低密度ポリエチレン | 袋やラップなどの包装材、食品チューブ、農業用フィルム、電線の被覆用途、フィルム、酢ビとの共重合材料、塗料、積層品 | |||
5 | PP | ポリプロピレン | 自動車部品、家電部品、包装フィルム、食品容器、キャップ、トレイ、コンテナ、パレット、衣装函、繊維、医療器具、日用品、ごみ容器、射出成型品全般 | |||
6 | PS | ポリスチレン | 射出成形品、雑貨、弱電機器、共重合用、シート、日用品全般、トレー、家電製品・電気機器の外装全般(テレビの箱、エアコンの外装部分、CDケースなど) | |||
7 | - | 1から6に該当しないその他のプラスチック。 | 工業・産業用から消費財まで幅広く使用。アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ABS樹脂、ウレタン樹脂、PTFE等 |
日本でのプラスチックリサイクルマークは2種類に統一
日本では「資源の有効な利用の促進に関する法律」(通称、リサイクル法、資源有効利用促進法)や「容器包装リサイクル法」(通称、容リ法)によって、再生可能なプラスチックのリサイクルマークとして、ペットボトルにつけられる「PET」(番号1)マークと、それ以外のプラスチック製容器で「プラ」マークがついたものだけが「資源ゴミ」として扱われ、リサイクルされることになります。これらのリサイクルマークは対象品である場合、法令で表示が義務化されていますので、法定表示ということになります。
リサイクルマーク | プラスチックの種類 | 対象 |
---|---|---|
PET以外 | プラスチック製容器 | |
PET | ペットボトル |
実質、日本ではこの三角マークの1番と、プラマークの2種だけを使用するよう統一されています(以前は1〜7の番号をつけることを推奨されていた時代もありました)。
リサイクルマークは「容器」に対してだけ
プラマークをつけることができるのは、容器包装リサイクル法の対象品だけで、その対象物とは「商品が消費されたり、商品と分離された場合に不要になるもの」と定義されています。たとえばCDやDVDケースなどは、分離しても不要にならないため、プラマークがつきませんので対象外となります。プランターなど製品そのものとなってしまうものも対象外です。
すべてのプラスチックがリサイクル回収できるわけではない
すべてのプラスチックがリサイクルされるわけではない点がポイントです。これら二つのマーク以外のものがついたプラは、廃プラスチックとして可燃ごみ(あるいは自治体によっては不燃ごみ)として廃棄されます。ただし、広義にはこれらも焼却時に熱エネルギーに変換されたり、固形燃料にされたりしますので、リサイクル手法の一つであるサーマルリサイクルによってエネルギー回収されているとみることもできます。
なお、プラスチックのリサイクル手法としては主に次の3つのものが使われます。
- マテリアルリサイクル
- 廃プラスチックを原料としてプラスチック製品に再生してしまう手法です。再生した原料を使った製品であることを明示した製品も数多く出回っています。衣類や容器、資材各種、自動車部品や建材等様々なものに使われます。
- ケミカルリサイクル
- プラスチックを化学的に分解し、原料に戻します。あるいは、高炉やコークス炉で使う還元剤や化学工業の原料へ戻します。
- サーマルリサイクル
- 廃プラスチックを固形燃料にしたり、燃やす際に発生する熱エネルギーを温水や発電、暖房に使う等してエネルギーを回収する手法です。上記のケミカルリサイクルの過程で出る水素、メタノール、アンモニアなどのガスへ変換して再利用する方法もあります。
数字の入ったリサイクルマークの起源|アメリカのRICコード
一方、PETマークとプラマーク以外に数字が入った識別は何に使われているのでしょうか。これらはもともとResin Identification Code (RIC) と言われる「樹脂識別コード」のことを意味しており、米国のプラスチック産業協会(Plastics Industry, Inc.(略称SPI))が制定したものです。RICコードやSPIコードとも呼ばれます。
もともとは環境負荷低減の機運の中、米国内でのプラ回収がひろがっている各自治体の動きに呼応し、リサイクル業者の利便性や消費者、業者の双方が分別しやすくするという意図がありました。
しかしながら、このマークがついているからといってリサイクルできるわけではなく、自治体によってリサイクル回収可能なものが異なり、例えば、1と2だけ回収可という状況からスタートしたため、少なからず消費者の混乱を招いています。またプラスチックの材質ではなく、その形状や形態で分別を実施している自治体もあり、そうしたケースではPETであるとか、PPであるとか、PEやLDPEであるとか以前に、キャップ形状であったり、ボトル形状として分別を行う必要があるため、このリサイクルマークに頼る必要性がなくなってしまっています。
結果としてこの数字が入ったリサイクルマークというのはプラスチックの種類を示すためにつけられている、という現状です。
したがって今でも米国製や他の海外のもので製品にエンボス加工などで浮彫で表示されているものも多く、プラスチックの種類をその名称にて製品に示すかわりに、この数字のついたマークがつけられていることもあります。ASTM規格を採用している国や企業の製品であれば、国籍問わずこの数字のリサイクルマークであるRICがついている可能性があります。
このマークには、数字だけが記載されているものと、プラスチックの種類を示す材質記号が表記されているものとがあります。
現在、このマークについては工業規格にて規格化もされており、ASTM D7611「樹脂識別のためのプラスチック製造品のコーディングに関する標準慣行(Standard Practice for Coding Plastic Manufactured Articles for Resin Identification)」にて規定されています(2013年改訂が最新)。
2013年の改訂では、RICコードの形状が少し変えられており、以下のように三角で囲われており、矢印の図形が消えています。米国製はじめとする諸外国で作られた製品で、比較的新しい製品ではこれらが表示されていることがあります。
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