ナイロン6(PA6)の物性と用途、特性について
ナイロン6は、融点が225℃、耐熱温度は80〜140℃となっていますが、ナイロンには物性の違うものが複数種類あります。密度、比重は1.13になります。色は透明ではなく、乳白色で、耐摩耗性、耐寒冷性、耐衝撃性、耐油性に優れます。耐薬品性については酸には多少侵されるものもありますが、アルカリへの耐性は強いほうです。アルコールにつけると浸透することがあります。
国内ではポリアミドの中で最もポピュラーな材料で、繊維に使われる他、熱可塑性のエンプラとしても使われます。ナイロンそのものはポリアミド(PA)の合成繊維のことを指すことが多いです。オイルに対して強い耐性を持つ他、フィラーにグラスファイバー等を入れることで物性を強化できます。
繊維として使われる場合は、ナイロン単独だけでなく、機能剤などを練りこむことでさらに高付加価値のナイロン製品となります。
主な用途は、機械部品、電気通信機器用部品、輸送機械部品、事務機械部品、ガソリンタンク、電気・電子部品各種、雑貨、建材、フィルム、魚網やテグスなどの釣り道具、歯車、ファスナー、吸気管、ラジエタータンク、冷却ファンなど。
種類 | 非変性 | グラスファイバー(GF)30〜35%充填 | ||
---|---|---|---|---|
物理的性質 | 密度(g・cm^-3) | 1.12から1.14 | 1.35から1.42 | |
融点(℃) | 結晶性 | 225 | 225 | |
非晶性 | − | − | ||
透明度 | 半透明〜不透明 | |||
吸水率(%)3mm、24h | 1.3から1.9 | 1.2 | ||
成形特性 | 成形温度範囲(℃) | 226から298 | 248から298 | |
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) | − | − | ||
成形収縮率(%) | 0.6から1.4 | 0.4 | ||
機械的性質 | 引張強さ(kgf・mm^-2) | 7.0から8.3 | 9.1から17.6 | |
最大伸び率(%) | 200から300 | 3 | ||
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 9.14 | 13.4 | ||
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 3.5から9.8 | 12.6から23 | ||
引張弾性率(kgf・mm^-2) | 70から267 | 562から1019 | ||
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) | 175 | − | ||
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) | 98から274 | 562から1054 | ||
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) | 5.4から16.3 | 16.3 | ||
硬度(硬さ) | ロックウェル | R119 | M78から101 | |
ショア | - | - | ||
熱的性質 | 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 | 5.8 | 5.8 | |
比熱(cal・K^-1g^-1) | 0.4 | 0.35から0.5 | ||
線熱膨張率(10^-5K^-1) | 8.3 | 2.0から3.0 | ||
熱変形温度(℃) 18.6kgf・cm^-2 4.6kgf・cm^-2 |
67.7 | 210 | ||
電気的性質 | 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) | 1011 | 5×1011 | |
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 | 15.7 | 15.7 | ||
比誘電率(εγ) | 60Hz | 3.8 | 4.2から12.1 | |
MHz | 3.4 | 3.9から4.5 | ||
誘電正接(tanδ) | 60Hz | 0.01 | 0.01から0.18 | |
MHz | 0.03 | 0.023から0.11 | ||
化学的性質、耐薬品性 | 燃焼性、速度(mm・min-1) | 0.6から0.7 | − | |
日光の影響 | 少し脆くなるが劣化は比較的少ない | |||
弱酸の影響 | 抵抗強 | |||
強酸の影響 | 侵される | |||
弱アルカリの影響 | 無し | |||
強アルカリの影響 | 抵抗 | 高温度に侵される | ||
有機溶剤の影響 | 一般溶剤に抵抗大、フェノール、ギ酸に溶ける |
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