ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性と用途、特性について

2013年9月1日更新

テフロンの名称で知られるフッ素樹脂|優れた耐熱性と耐寒性

フッ素と炭素のみで作られたフッ素樹脂で、耐熱温度は260℃になります。耐寒性については−100℃程度まで耐性があります。耐熱性や耐薬品性に優れており、粘着しません。色は乳白色です。スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に分類されます。一般にはテフロンの商標名でしられており、焦げ付かないフライパンなど調理器具でもよく見られる樹脂です。耐熱性については他の樹脂を大きく引き離す性能を持ちます。ただ、260℃以上で用いると劣化していき、約350℃以上で分解すると言われています。PTFEの融点そのものは約327℃です。

成形される前の状態では乳白色で、ロウのような液体です。流動性がよくないのが難点といえます。他の合成樹脂からみるとかなり異なる性質を備えています。

薬品に対しても耐性を持つ樹脂

耐薬品性については様々な薬品に対して耐性を持っており、フッ化水素酸でも溶かすことができません。耐侯性も備えており、直射日光下でも強い耐性を持ちます。こうした点では他の樹脂系統とは一線を画す性能を持ちます。なお、放射線によって脆化する(もろくなる)と言われています。他にPTFEを侵す可能性のある薬品は、溶融アルカリ金属や高温のフッ素、三フッ化塩素などが知られています。

高い絶縁性をもつPTFE

絶縁材としても優れており、絶縁抵抗、絶縁破壊についてはプラスチックの中で最も優れた値を持ちます。吸湿、吸水性もともに0%です。

摩擦を生じにくい樹脂材料

機械的特性については低摩擦に特長があります。切削は比較的しやすいと言われますが、成形そのものの難度は高く、充填剤次第で加工のしやすさは大きく変わります。

用途はフライパン内面コーティング、電気・電子部品、絶縁材料、軸受、ガスケット、各種パッキン、フィルター、半導体工業分野、電線被覆などが知られています。

テフロンの歴史は意外と古く、1938年にデュポン社で発見されています。

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性、特性
種類 無充填
物理的性質 密度(g・cm^-3) 2.14から2.2
融点(℃) 結晶性 327
非晶性
透明度 透明から不透明
吸水率(%)3mm、24h 0.00
成形特性 成形温度範囲(℃)
成形圧力範囲(kgf・cm^-2)
成形収縮率(%)
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 1.4から3.5
最大伸び率(%) 200から400
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 1.2
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2)
引張弾性率(kgf・mm^-2) 40.8
圧縮弾性率(kgf・mm^-2)
曲げ弾性率(kgf・mm^-2)
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) 16.3
硬度(硬さ) ロックウェル
ショア 50〜55(D)
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 6.0
比熱(cal・K^-1g^-1) 0.25
線熱膨張率(10^-5K^-1) 10.0
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) >1018
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 18.8
比誘電率(εγ 60Hz <2.1
MHz <2.1
誘電正接(tanδ) 60Hz 0.0002
MHz 0.0002
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1 <4
日光の影響
弱酸の影響
強酸の影響
弱アルカリの影響
強アルカリの影響
有機溶剤の影響

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