シリコン樹脂(シリコーン)の物性と用途、特性について

2013年9月2日更新

単にシリコーン、あるいはケイ素樹脂とも呼ばれます。高分子で合成樹脂として使われるものをシリコンと呼ぶ場合もありますので、Siの金属元素とは区別しておく必要があります。

耐熱性に優れた樹脂

シリコン樹脂とは、ガラスを構成するケイ素骨格にメチル基やベンゼン環などの有機性基を導入してできる樹脂で、ゴム状のものから硬い樹脂まで幅広いものが存在します。無色無臭で、撥水性があります。耐油性、耐酸化性、耐熱性に優れた不導体で、特に耐熱性については、200℃を超える耐熱温度を持ち、条件によってはこれが400℃になるとも言われます。

プラスチックや樹脂はエンプラを除くと、熱には基本的には弱い性質を持つため、高温環境での用途には適していませんでした。こうした400℃近い耐熱性をもつ樹脂の登場によって、場合によっては低融点金属にも匹敵する耐熱性を持つことになり、新しい用途も広がっています。

素材としては結合によってオイル状になったり、ゴムの性質を示したりします。ゴムと樹脂の性質の両方をあわせてもつエラストマーに近い状態にすることも可能です。

用途は、塗料、電気・エレクトロニクス部品、コーティング剤、オイル、化粧品、グリース、シリコンオイル、ゴムコンパウンド、ワックス、医薬品等が知られています。

シリコン樹脂(シリコーン)の特性
フィラー(充填材)、用途 可とう性(注型用) グラスファイバー充填(成形材料)
物理的性質 密度(g・cm^-3) 0.99から1.5 1.80から1.94
融点(℃) 結晶性
非晶性 - -
透明度 透明、グレードは各種あり 不透明
吸水率(%)3mm、24h 0.12 0.2
成形特性 成形温度範囲(℃) 圧縮、154から182
成形圧力範囲(kgf・cm^-2)
成形収縮率(%) 0から0.6
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 0.25から0.7 2.8から4.5
最大伸び率(%) 100から1000
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 0.07 7.6から10.5
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) - 7.0から9.8
引張弾性率(kgf・mm^-2) 0.14 -
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) - -
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) - 1.63
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) - 1.63から43.5
硬度(硬さ) ロックウェル - M80から90
ショア 15から65(A) -
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 3.5から7.5 7.0から9.0
比熱(cal・K^-1g^-1) - 0.19から0.22
線熱膨張率(10^-5K^-1) 8.0から30.0 2.0から5.0
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
- >500
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) 1014から1015 1015
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 21.6 7.8から11.8
比誘電率(εγ 60Hz 2.7から4.2 3.3から5.0
MHz 2.6から2.7 3.2から4.3
誘電正接(tanδ) 60Hz 0.001から0.025 0.004から0.030
MHz 0.001から0.002 0.002から0.020
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1 - -
日光の影響 無し 無し
弱酸の影響 少量〜無 無〜わずか
強酸の影響 わずか〜著しい わずか
弱アルカリの影響 少量〜無 無〜わずか
強アルカリの影響 わずか〜著しい
有機溶剤の影響 無し、もしくはある種で侵される ある種で侵される

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