メラミン樹脂(MF)の物性と用途、特性について
メラミン樹脂(MF)は歴史の古い樹脂の一つで、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合によってできるプラスチックです。ユリア樹脂に似た部分もありますが、メラミン樹脂は機械的性質(強度や硬度、引張強さ)に優れた材料です。
常用できる耐熱温度は110〜130℃です。硬度はロックウェルでM115から125、耐水性が良く、陶器に似ており、表面は硬く、光沢がある樹脂材料です。比重は、1.47から1.52(αセルロースを充填した場合)になります。
メラミン樹脂の用途としては、食卓用品、化粧板、合板接着剤、塗料、建築物、船舶、自動車等の塗装、電気部品(配線、プラグ、コンセント類)、コネクター、スイッチ、食器洗いのスポンジ(研磨材抜きで汚れ落としに使う)等が知られています。接着剤としては、加水分解に強いため、建材の合板接着で威力を発揮します。
全般的に耐薬品性、耐候性に優れており、強度も良好、電気絶縁性もよく、着色はユリア樹脂と同様に自由にできます。なお、マイクロウェーブを吸収して発熱する性質を持つため、電子レンジを使った調理等には向かないとされます。
フィラー(充填材)の種類 | 無充填 | αセルロース | グラスファイバー(GF) | ||
---|---|---|---|---|---|
物理的性質 | 密度(g・cm^-3) | 1.48 | 1.47から1.52 | 1.8から2.0 | |
融点(℃) | 結晶性 | 熱硬化 | 熱硬化 | 熱硬化 | |
非晶性 | - | - | - | ||
透明度 | 乳白色 | 半透明 | 不透明 | ||
吸水率(%)3mm、24h | 0.3から0.5 | 0.1から0.6 | 0.09から0.21 | ||
成形特性 | 成形温度範囲(℃) | 167から183 | 156から206 | 156から189 | |
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) | 141から352 | 105から562 | 141から562 | ||
成形収縮率(%) | 1.1から1.2 | 0.5から1.5 | 0.1から0.4 | ||
機械的性質 | 引張強さ(kgf・mm^-2) | − | 4.9から9.1 | 3.5から7.0 | |
最大伸び率(%) | − | 0.6から0.9 | − | ||
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 28.1から31.6 | 28.1から31.6 | 14.1から24.6 | ||
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 7.7から9.8 | 7.0から11.2 | 10.5から16.2 | ||
引張弾性率(kgf・mm^-2) | − | 844から984 | 1690 | ||
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) | - | - | - | ||
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) | - | 780 | − | ||
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) | − | 1.3から1.9 | 3.2から98 | ||
硬度(硬さ) | ロックウェル | − | M115から125 | − | |
ショア | - | - | - | ||
熱的性質 | 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 | − | 7.0から10.0 | 11.5 | |
比熱(cal・K^-1g^-1) | − | 0.4 | − | ||
線熱膨張率(10^-5K^-1) | − | 4.0 | 1.5から1.7 | ||
熱変形温度(℃) 18.6kgf・cm^-2 4.6kgf・cm^-2 |
166 | 194から206 | 222 | ||
電気的性質 | 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) | − | 0.8〜2×1012 | 2×1011 | |
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 | − | 9.4から11.8 | 6.6×11.8 | ||
比誘電率(εγ) | 60Hz | − | 7.9から9.5 | 9.7から11.1 | |
MHz | − | 7.2から8.4 | 6.6から7.5 | ||
誘電正接(tanδ) | 60Hz | − | 0.03から0.08 | 0.14から0.23 | |
MHz | − | 0.026から0.045 | 0.013から0.015 | ||
化学的性質、耐薬品性 | 燃焼性、速度(mm・min-1) | − | − | <0.16(FRgr) | |
日光の影響 | 退色 | 淡黄色化 | わずか | ||
弱酸の影響 | 無し | ||||
強酸の影響 | - | 分解 | |||
弱アルカリの影響 | 無し | ||||
強アルカリの影響 | − | 侵される | 無〜わずか | ||
有機溶剤の影響 | 無し |
スポンサーリンク
>このページ「メラミン樹脂(MF)の物性と用途、特性について」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- 「プラスチックの種類と用途、物性について」へ戻る
- プラスチック(樹脂)の種類と記号一覧表
- プラスチックリサイクルマークの数字の意味と種類
- 4大プラスチックとは
- バイオプラスチックの種類と原料|デメリットや課題はどこにあるか
- PFOAの使用と含有製品はいつから規制か|フライパンから繊維、撥水剤、泡消火剤まで
- プラスチックの人体への影響|プラスチックは安全なのか
- プラスチックの比重、密度の一覧表
- プラスチックの融点、耐熱温度の一覧表
- プラスチックの熱変形温度の一覧表
- プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合い
- プラスチックの引張強さの一覧表
- プラスチックの比熱の一覧表
- プラスチックの熱膨張係数、熱膨張率の一覧
- プラスチックの熱伝導率の一覧
- アロイ化とは
- 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い
- フェノール樹脂(PF)
- ユリア樹脂(UF)
- メラミン樹脂(MF)
- 不飽和ポリエステル樹脂(UP)
- ポリウレタン(PU)
- ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、アリル樹脂
- シリコン樹脂(SI)
- アルキド樹脂
- エポキシ樹脂(EP)
- フラン樹脂
- ナイロン6(PA6):ポリアミド(PA)の一種
- ナイロン66(PA66):ポリアミド(PA)の一種
- ナイロン12(PA12):ポリアミド(PA)の一種
- ポリアミドイミド
- ポリアセタール(POM)
- ポリカーボネート(PC)
- 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)
- ポリブチレンテレフタラート(PBT)
- GF強化ポリエチレンテレフタラート(GF-PET)
- 超高分子量ポリエチレン(UHPE)
- ポリフェニレンスルフィド(PPS)
- ポリイミド(PI)
- ポリエーテルイミド(PEI)
- ポリアリレート(PAR)
- ポリスルホン(PSF)
- ポリエーテルスルホン(PES)
- ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
- 液晶ポリマー(LCP)
- ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、いわゆるフッ素樹脂
- ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、いわゆるフッ素樹脂
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- ポリスチレン(PS)
- アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)
- ポリ塩化ビニル(PVC)
- メタクリル樹脂(PMMA)
- ポリエチレンテレフタラート(PET)
- ポリビニルアルコール(PVA)
- 酢酸セルロース(CA)
- プロピオン酸セルロース(CP)
- 硝酸セルロース(CN)
- ポリ乳酸(PLA)
- フラン-ホルムアルデヒド樹脂(FF)
- エチルセルロース(EC)
- フェノール-ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)(PF)
- ポリスルホン、ポリスルフォン(PSU)
- ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
- ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
- アイオノマー樹脂
- FRP(繊維強化プラスチック)
- 炭素繊維メーカーの一覧
- プラスチックの黄ばみ除去について