AS樹脂（アクリロニトリルスチレン）の物性と用途、特性について
アクリロニトリルスチレン樹脂、SANプラスチックとも言います。JIS記号はSAN（Stylene AcryloNitrille copolymer）と表記します。耐熱温度は80〜100℃で透明性や耐熱性に優れた材料です。耐酸性、耐アルカリ性は良好ですが、アルコールに長時間触れると不透明になります。また直射日光を長いこと受けていると劣化する場合があります。機械的特性を見ると、引張強さや耐衝撃性に優れた材料で、表面に引っ掻き傷等がつきにくいプラスチックです。
ポリスチレンと同類のスチレン系樹脂で、耐衝撃性や剛性はポリスチレンよりも優れているとされます。ただし、衝撃については全プラスチックの中では強いほうではありませんので留意する必要があります。加工のしやすい樹脂で汎用ポリスチレンとの比較でいえば、耐薬品性や耐熱性に優れます。用途は食卓で用いられる製品全般、ライター、電気製品（扇風機のはね等）、食品保存容器、玩具全般、化粧品容器全般などです。
| 種類 | 共重合体 | ||
|---|---|---|---|
| 物理的性質 | 密度（g・cm^-3） | 1.075から1.10 | |
| 融点（℃） | 結晶性 | − | |
| 非晶性 | 115 | ||
| 透明度 | 透明 | ||
| 吸水率（％）3mm、24h | 0.2から0.3 | ||
| 成形特性 | 成形温度範囲（℃） | 射出：190から301 | |
| 成形圧力範囲（kgf・cm^-2） | 703から2320 | ||
| 成形収縮率（％） | 0.2から0.7 | ||
| 機械的性質 | 引張強さ（kgf・mm^-2） | 6.3から8.4 | |
| 最大伸び率（％） | 1.5から3.7 | ||
| 圧縮強さ（破壊、降伏）（kgf・mm^-2） | 9.8から12.0 | ||
| 曲げ強さ（破壊、降伏）（kgf・mm^-2） | 9.8から13.4 | ||
| 引張弾性率（kgf・mm^-2） | 281から394 | ||
| 圧縮弾性率（kgf・mm^-2） | 372 | ||
| 曲げ弾性率（kgf・mm^-2） | 387 | ||
| アイゾット衝撃値（kgf・cm・cm^-1） | 2.5から25 | ||
| 硬度（硬さ） | ロックウェル | M80から90 | |
| ショア | - | ||
| 熱的性質 | 熱伝導率（10^-4cal・s^-1cm^-2）（K・cm^-1）^-1 | 2.9 | |
| 比熱（cal・K^-1g^-1） | 0.32から0.34 | ||
| 線熱膨張率（10^-5K^-1） | 3.6から3.8 | ||
| 熱変形温度（℃） 18.6kgf・cm^-2 4.6kgf・cm^-2 |
87から104 | ||
| 電気的性質 | 体積抵抗率（Ω・cm）（23℃、50%RH相対湿度） | >1016 | |
| 絶縁強さ（短時間法）（3.18mm）/kV・mm-1 | 11.8から23.6 | ||
| 比誘電率（εγ） | 60Hz | 2.6から3.4 | |
| MHz | 2.4から3.8 | ||
| 誘電正接（tanδ） | 60Hz | 0.003から0.008 | |
| MHz | 0.007から0.015 | ||
| 化学的性質、耐薬品性 | 燃焼性、速度（mm・min-1） | 15.2から25.4 | |
| 日光の影響 | 黄色（わずか） | ||
| 弱酸の影響 | 無 | ||
| 強酸の影響 | 酸化性酸に侵される | ||
| 弱アルカリの影響 | 無 | ||
| 強アルカリの影響 | 無 | ||
| 有機溶剤の影響 | 炭化水素に溶解 | ||
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