機械構造用炭素鋼の用途、機械的性質、成分の一覧
機械構造用鋼材のなかでも、最もよく使われる炭素鋼鋼材で、S45CなどSxxCのxx部分の数字が炭素の比率(代表値)を表しています。実際にはこの部分はある程度の幅があります。実際によく使われる鋼種としては、S20CからS55Cあたりで、機械の部品・部材を中心に幅広く使われる材料です。用途の一例をあげると、ポンプ、ブロア、コンプレッサ、回転式機械の回転軸、油圧ジャッキ、往復動型の軸材料、軸材各種、ボールねじ・台形ねじの軸材、移動台車用のレール材、ギヤ、スパナ、パイプレンチ、ハンマなどの工具類にも使われます。また砥石との関連では、電着砥石の台金(砥粒層を付ける台座、シャンクともいいます)にS45Cの生材がよく使われます。なお、軸材や工具材などのほとんどの用途ではS45CとS55Cは必ず熱処理(焼入れ、焼き戻し、調質)をして用います。なお、こうした熱処理は鋼材の大きさ(マス)によって大きく変化するため(マス・イフェクトまたはサイズ・イフェクト、あるいはマスエフェクト)、SxxC材の適用が難しい局面では、構造用合金鋼(SCr, SMn, SMnC, SCMなど)の使用が検討されます。
鋼材メーカーで下記規定の相当材料を使う場合、メーカーによっても差が出ることがあります。
S-C材の炭素量は0.08〜0.6%ですが、これ以上になるとSK材になります。また最後のKがついている材料記号、例えばS20CKなどは浸炭はだ焼き専用鋼になります。Kは高級のKからとった記号です。浸炭を行うことで、炭素量の少ない材料でも表面に強度を持たせることが出来ます。
なお、JIS規格では23種類の鋼材が規定されています。
炭素鋼の研削や研磨を行う場合、表面粗さを0.8〜1.6Ra程度に仕上げるのであれば、研削砥石ならばWA砥石(砥粒にWA:ホワイトアランダムを用いた一般研削砥石)もしくはA砥粒を用いたものが一般的です。ただしこれはHRCが25以下を想定した選定で、硬度が高い場合や、研削効率を上げる必要がある場合は、CBN砥石(CBNホイール)を用います。
「JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材」に規定のある材料記号
1950年 | 1953年 | 1956年 | 1965年 | 1979年 |
---|---|---|---|---|
S10C | S10C | S10C | S10C | S10C |
S12C | S12C | |||
S15C | S15C | S15C | S15C | S15C |
S17C | S17C | |||
S20C | S20C | S20C | S20C | S20C |
S22C | S22C | |||
S25C | S25C | S25C | S25C | S25C |
S28C | S28C | |||
S30C | S30C | S30C | S30C | S30C |
S33C | S33C | |||
S35C | S35C | S35C | S35C | S35C |
S38C | S38C | |||
S40C | S40C | S40C | S40C | S40C |
S43C | S43C | |||
S45C | S45C | S45C | S45C | S45C |
S48C | S48C | |||
S50C | S50C | S50C | S50C | S50C |
S53C | S53C | |||
S55C | S55C | S55C | S55C | S55C |
S58C | S58C | |||
SH50 | S9CK S15CK |
S9CK | S9CK | S09CK |
S15CK | S15CK | |||
S20CK | S20CK |
スポンサーリンク
>このページ「機械構造用炭素鋼の用途、機械的性質、成分の一覧」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- 鉄の錆の種類と成分、化学式について|鉄錆が発生するメカニズム
- S45Cの相当品、相当材
- 鋼、鉄、鋳鉄はそれぞれ何が違うか
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
- 鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
- 金属単体の比重、密度の一覧表
- 金属の融点、沸点の一覧表
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 金属材料の硬度の一覧と比較
- 鉄鋼材料の種類
- 炭素鋼と合金鋼の違いと使い分け
- 合金元素の果たす役割
- 鉄鋼、炭素鋼、合金鋼の焼入れ深さ
- 焼入れ性とは