S58C(機械構造用炭素鋼)の機械的性質や成分の一覧
機械構造用炭素鋼のなかでは最も炭素の含有比率の高い炭素鋼です。硬度が高い反面、同種の炭素鋼では粘りが少なくなります。これ以上の炭素量になると、工具鋼となります。炭素の量により硬さを追求していくと、鉄鋼材料のもつ大きな特徴の一つである「粘り」が損なわれていく傾向があります。ガラスなどの硬脆材料は硬いですが、靭性がないため、破壊されやすい側面を持ちますが、鉄鋼はこの粘りと硬度、硬さのバランスに特徴のある素材です。どの炭素量のものが最適か、成分だけでなく、後の熱処理も勘案しつつ選んでいくことが肝要です。
材料記号 | C | Si | Mn | P | S |
---|---|---|---|---|---|
S58C | 0.55〜0.61 | 0.15〜0.35 | 0.60〜0.90 | 0.030以下 | 0.035以下 |
種類 | 変態温度 (℃) |
熱処理温度 (℃) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
Ac | Ar | 焼ならし | 焼なまし | 焼入れ | 焼戻し | |
S58C | 720〜760 | 730〜680 | 800〜850空冷 | 約790炉冷 | 800から850水冷 | 550〜650急冷 |
種類 | 機械的性質 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
熱処理 | 降伏点 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
伸び % |
絞り % |
衝撃値 (シャルピー) J/cm2 |
硬度 HBW |
|
S58C | 焼きならし | 390以上 | 650以上 | 15以上 | - | - | 183〜255 |
焼きなまし | - | - | - | - | - | 149〜192 | |
焼入れ・焼戻し | 590以上 | 780以上 | 14以上 | 35以上 | 59以上 | 229〜285 |
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