JIS B 4140:2006 ダイヤモンド及びCBN電着工具
この規格は、焼入れ鋼などの金属材料、超硬合金、サーメット、半導体材料、セラミックス、ガラス、カーボン、ゴム・プラスチック、FRPなどを総形研削、内面研削、ジグ研削、その他の研削、スライシング、ダイシング、溝入れ、切断、ポリシングパッドのコンディショニングなどに用いるダイヤモンド又はCBN電着工具について規定されたものです。ただ歯科用に用いる電着工具はこの規格が適用されません。
また電着工具のなかでも特に以下のものについての規格となります。
- 研削ホイール
- 平形ホイール
- 総形ホイール
- カップ形ホイール
- 軸付きホイール
- 内周刃切断用
- ID(内周刃)ブレード
- 外周刃切断用
- ハブ付きブレード
- リング形ブレード
- 基板付きブレード
- パッドコンディショナ
電着工具の種類、砥粒の積層状態、等級、台金、外観、めっき、形状・寸法、表示方法、寸法の許容差、呼び、表示方法などについての記述があります。
用語の定義
電着工具
所要の形状に加工された鋼、超硬合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの合金の表面に、電気めっき法及び/又は化学めっき法によってダイヤモンド又はCBNのと(砥)粒を保持し、固定した工具。なお、台金を取り除いたものもある。
電気めっき法
電解液中で台金を陰極、ニッケル板を陽極にして液中で両極間に適切な電流を通じ、台金表面にニッケル層を析出させることによって、と(砥)粒を保持し、固定する電着工具の製造方法。
化学めっき法
めっき液中に含まれる還元剤によってニッケルイオンを還元析出させることによって、と(砥)粒を保持し、固定する電着工具の製造方法。無電解めっき法ともいう。
研削ホイール
所要の形状に加工された台金の外周、側面などにと(砥)粒を固定した研削用のホイール。平形ホイール、総形ホイール、カップ形ホイール及び軸付きホイールがある。
平形ホイール
円盤状の台金の外周にダイヤモンド又はCBNと(砥)粒層を取り付けた研削加工用ホイール。ストレートホイールともいう。
総形ホイール
工作物の仕上がり形状に対応した直線、円弧、曲線、角度又はこれらの組合せでできる形状に整えたホイール。
カップ形ホイール
ダイヤモンド又はCBNと(砥)粒層をもつカップ形の研削加工用ホイールの総称。
軸付きホイール
機械の回転軸に取り付けるための軸部をもつホイール。内面研削盤、ジグ研削盤、ポータブルグラインダーなどに取り付けて使用する。内面研削加工に用いるものは、インターナルホイールともいう。
ID(内周刃)ブレード
ステンレス鋼薄板をドーナツ状に成形した台金の内周部にと(砥)粒を固定した、内周形の切断用ブレード。
ハブ付きブレード
アルミニウム台金製ハブの側面外周部にと(砥)粒層を設けた、精密切断や溝入れ用のブレード。
リング形ブレード
全面がと(砥)粒層で形成された、台金のない精密な切断又は溝入れ用のブレード。オールブレードタイプともいう。
基板付きブレード
ドーナツ状薄板基板の外周及び側面の一部にと(砥)粒を固定した、切断又は溝入れ用のブレード。電着カッタともいう。
パッドコンディショナ
CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)、その他のポリッシングなどに用いられるポリウレタン製などの研磨パッドの表面をコンディショニングするための工具。パッドドレッサ、CMPドレッサ、CMPコンディショナなどと呼ぶこともある。
輪郭度公差
研削ホイールのと(砥)粒層作用面の形状精度。通常はレプリカ法の輪郭度で表す。
台金
と(砥)粒を固定する金属製母材。電着工具の形状によってはボディ、コア、基板、軸、シャンク、マンドレルともいう。
単層電着工具
台金にと(砥)粒を1層だけ保持し、固定した電着工具
多層電着工具
台金にと(砥)粒を2層以上保持し、固定した電着工具
振れの測定面
と(砥)粒層の振れを代替して測定するための台金の部位。
こぶ
電着部に発生する突起状のめっき金属。ノジュールともいう。
オーバーハング
軸付きホイールを機械に装着したときに取付面から露出している軸部の長さ【と(砥)粒層を含まない】
再電着
使用済みの電着工具から、と(砥)粒層を除去した台金を再利用して電着工具を製作すること。
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