ピアノメーカーの一覧
ピアノは歴史の古い楽器で、1700年代にはすでにあっとされる記録もあり、すでに300年以上もの歴史を持つことになります。
現在市販されているピアノは、グランドピアノとアップライトピアノの二種類に分けられます。グランドピアノは響きをよくするため、弦が長く取られていることから大型化しています。重量もコンサートグランドでは500kgs近くになります。
他の多くの楽器がそうであるように、ピアノも木材で構成されている部分の多い楽器です。鍵盤も木材の上に象牙などがかつては使われていましたが、現在は木の上に合成樹脂などでコーティングされています。また鍵盤を押すと内部のハンマーが作動して弦をたたいて音を共鳴させて演奏を可能にしますが、この部分も木材もしくは強化プラスチックで作られています。張力に強い金属ワイヤーのことをピアノ線と呼ぶことから分かるとおり、弦は、金属製のものがよく使われ、高張力の鉄鋼材料が採用されています。他の弦楽器よりもはるかに高い張力がかかっているのもピアノの特徴です。
ピアノに使われる板材は1種類ではなく、複数のものが使われます。側板は複数の板をたばねて曲げてあります。内部には木製つくられた支柱が入っており、ピアノの漆黒の色は、音質と耐久性向上のために塗装とされてます。弦がはられている響板がピアノの心臓部になりますが、この弦には20トンもの圧力がかかっています。チューニングピンの装着は機械が行い、約230本の弦をフレームにはる作業は手作業です。
88個の鍵盤をもつ楽器ですが、鍵から弦へ音を伝えるためのアクション部は1鍵で80以上の部品が使われる精巧な部品です。鍵盤の高さあわせにはレーザーによる測定が行われ、出荷時の音律は測定器をつかってあわせられています。
ピアノは木製品のため、湿度の影響をかなり受ける楽器です。このため、出荷前には出荷先の湿度と同じ環境内で保管するシーズニングが行われるのが通例で、打弦テストやシーズニングでずれた箇所などはすべて手作業でなおしていきます。最後の調律は人の聴覚だけが頼りとなります。
ピアノの生産量を世界で見ると日本勢が強く、1位、2位ともに国内メーカーです。日本のピアノメーカーの中心地であった静岡には大量生産メーカー、手工芸メーカーあわせて、かつては50社近くのメーカーがあったといわれますが、現在は6社となっています。
- ヤマハ
- 楽器のほか、情報通信機器、半導体、スポーツ用品、自動車部品など多角的に手がけるメーカー。音楽教育事業にも注力。ピアノの生産量では世界1位とされる。楽器はピアノのほか、ギター・ベース・弦楽器、管楽器、吹奏楽器、ドラムなど複数種類手がけている。ピアノはグランドピアノ、アップライトピアノ、ハイブリッドピアノ、電子ピアノ、ステージピアノ、電子キーボードなど多彩なラインナップがある。
- 河合楽器製作所
- 静岡県浜松市に本社を置く楽器メーカー。ピアノでは世界第2位のシェア。1927年創業。KAWAIブランドでの楽器の製造販売のほか、金属加工品や木工加工品の製造販売、音楽教室や体育教室も手がける。グランドピアノ、アップライトピアノともに複数のラインナップを持ち、クリスタルピアノについてはドイツのシンメル社のほかは同社しか手がけていない。
- Böesendorfer(ベーゼンドルファー)
- オーストリアのピアノメーカー。1828年創業の老舗。2008年からはヤマハの傘下となっている。名ピアノの代名詞とされ、ベヒシュタインやスタンウェイと並ぶ世界三大ピアノメーカーの一つとされる。世界で最も古いピアノメーカーでもある。
- C.BECHSTEIN(ベヒシュタイン)
- ドイツのピアノメーカー。世界三大ピアノメーカーの一つといわれる。1853年設立。サイトでは"Piano consulttants"のコーナーを設け、ピアノを買うときの基準や定期メンテ、室内環境や場所、ピアノの輸送などについての情報提供を行っている。またYoutubeでピアノ製造の模様を公開している。日本ではユーロピアノが総代理店となっている。
- Steinway & Sons(スタインウェイ・アンド・サンズ)
- 米国最大のピアノメーカー。生産拠点はドイツとニューヨークにあり、前者はハンブルク・スタンウェイ、後者はニューヨーク・スタンウェイとされ、区別されている。材料や構成パーツなどが若干異なることが知られている。1853年設立の老舗で、有名ピアニストが愛用していることからも世界で最も知られるピアノメーカーといわれる。従業員は1700名以上、製造拠点は11箇所持つ。
- Steinway Musical Instruments(スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ)
- 米国最大の総合楽器メーカー。ピアノの製造は傘下のスタインウェイ・アンド・サンズが手がける。
- Blüthner(ブリュートナー)
- ドイツのピアノメーカー。1853年創業。ピアノのほとんどが手作業で作られている。音を良く伝え、強度も併せ持つパイン材(Pine)、優れた強度を持つ赤ブナ材(Red beech)、響板にはスプルース材(Spruce)など特定の産地の木材しか用いない。
- Pleyel(プレイエル)
- フランスのピアノメーカー。チェンバロ(ハープシコード)を復活させたメーカーとしても知られる。完全受注生産で、生産台数は年間で20台に満たない。グランドピアノ、クラシカルピアノのほか、デザイナーズピアノ、アーティストピアノなども製造する。製作の模様を一部動画で公開もしている。
- Schimmel(シンメル)
- ドイツ最大手のピアノメーカー。素材に透明アクリス樹脂を使った全面が透明なクリスタルピアノでも有名。同社のブランドSchimmel Konzert、Schimmel Classicともにドイツ製作にこだわる。他、Vogel、May berlinなどのブランドを持つ。
- FAZIOLI(ファツィオリ)
- イタリアのピアノメーカー。1981年、家具職人だった現社長が創業した比較的新しいピアノメーカーで、グランドピアノの専門メーカー。35人の熟練した職人により手造りで製作され、一台のピアノ完成までには約3年の月日がかかる。日本語のサイトもある。
- シュバイツァ技研
- 本格的手工芸ピアノの国内メーカー、シュバイツァスタイン。ドイツ正統派の流れを受け継いでいる。1954年(昭和29年)静岡県磐田市にて創業。
- クロイツェル・ピアノ
- 静岡県浜松市にある手工芸ピアノメーカー。台数を限定して各部材を厳選、高品質なピアノのみを提供。デザインはアンティーク中心。ピアノの修理やオーバーホールにも対応。
- 東洋ピアノ製造
- 昭和23年設立の日本のピアノメーカー。輸入ピアノの調整や販売等も行っている。サイトでは中古ピアノの在庫情報やピアノ買取についての情報も掲載している。スタンウェイの東海地区正規代理店でもある。
スポンサーリンク