マスクメーカーの一覧
日本国内のマスクメーカーには、いくつかの業態があり、自社工場での生産体制を持つ企業、企画・販売のみ行い生産は外注している企業、企画・販売を行う会社に対してOEM(自社ブランドでは表立って販売しない)を中心とする企業、商社として仕入販売のみを行う企業等に分かれています。
マスクには、医療用のサージカルマスクと工業用の防塵マスクがある
マスクには、大きく医療用に使われるサージカルマスクと、工業用・産業用に使われる防塵マスク(レスピレータ)があります。
医療用途のサージカルマスク
サージカルマスクは、市販されている一般的な風邪用のマスクに近いもので、装着者のくしゃみや咳から周囲にウィルスが飛散するのを防ぐことを主目的とした衛生用品となります。日本国内にはこの性能基準となる規格がないため、医療用のマスクについては米国のASTM-F2100-11の規格が使われることが多いです。この規格では、以下の5つの指標でマスクのレベルがバリアレベル1、レベル2、レベル3の3段階に分けられています。
性能項目 | 内容 |
---|---|
PFE(微粒子ろ過効率) | 空中に浮遊している微粒子からどれだけフィルターにかかって着用している人まで届かないかを示す濾過率です。試験には0.1μmのポリスチレンラテックス微粒子が使われます。数字が大きいほど性能が高くなります。 |
BFE(微生物ろ過効率) | 着用者の呼気や咳、くしゃみ等に含まれる細菌・微生物をどの程度濾過できるかを示す指標です。平均約4-5μmの粒子が濾過された割合を見ます。数字が大きいほど性能が高くなります。 |
液体防護性 | 液体や血液などが飛散して付着した際に、どの程度の圧力までなら突き抜けずに防げるかを示す指標です。数字が大きいほど防御性能が高いです。 |
吸気抵抗 | 数字が大きいほど息苦しくなりますのでこの数字が一定以下でないとサージカルマスクとしての性能基準に通りません。 |
燃焼性 | Class 1であることが求められます。燃え広がりにくいことが求められます。 |
防じんマスクにはアメリカ、日本、EUの規格がある
防塵マスクのほうは、微粒子で構成される有害な粉塵が体内に入らないようブロックすることを主目的にした製品です。
米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格やヨーロッパ EN規格、日本検定規格等があります。こちらにも微粒子の大きさやその濾過率となるPFEの値が細かく定められています。
過去の感染症対策で、防塵マスクを医療現場で用いることもあり、両者の垣根があいまいな製品も出てきていますが、原則、医療用と工業用の防じん用は防ぐ対象と目的が違うため、使い分ける必要があります。医療用マスクに慣れた方、医療関係者の方の多くは、工業用の防じんマスクはとても息苦しく感じると思います。
ここでは主に医療用マスク、サージカルマスクのメーカーを一覧にまとめます。
医療従事者向けと、家庭用マスクの違い
医療用のマスクの場合、家庭用として一般向けに市販しているラインナップと、医療従事者向けとして販売しているラインナップを分けて提供しているところや、片方のみの提供を行うメーカーがあります。
医療用のものが市販されていることもありますので、両者の違いというのは分かりにくくなっていますが、ASTM-F2100-11の規格をクリアしている製品は、信頼性が要求される医療現場でもよく採用されています。バリアレベル1、バリアレベル2、バリアレベル3といった区分がなされています。
マスクの生産
大部分が中国生産となりますが、純日本製を謳う製品も高機能品を中心に数多くの種類が上市されています。材質は、化学繊維を組み合わせた不織布が多く、これらをフィルターとして用いています。
マスク専業メーカーというのは数が少なく、不織布や綿の取り扱いに長けたメーカーが手掛けている例が多く見受けられます。
- ユニ・チャーム
- 本店を愛媛県四国中央市に置く。高いシェアを持つ。ベビーケア関連製品、フェミニンケア関連製品、ヘルスケア関連製品、化粧パフ、ハウスホールド製品、ペットケア関連製品、産業資材、食品包材等の販売を広く手掛ける。
- ユニ・チャーム超快適マスクは、「99%カットフィルタ」でウイルス飛沫、花粉の侵入を防ぐことに主眼を置いている。PM2.5にも対応。ユニ・チャーム超立体マスクの同じく99%カットフィルタを持ち、0.1μm〜1.0μmまでの小さな微粒子や、ウィルス飛沫をブロックする。マスクと顔との間にできてしまう隙間を減らすため、全面フィット形状を採用。
- アイリスオーヤマ
- 1958年4月に創業の生活用品の企画、製造、販売を手掛ける総合メーカー。大山ブロー工業所に端を発し、電化製品、収納家具、ホーム用品、オフィス収納用品、インテリア、調理器具キッチン用品、ヘルスケア、工具DIY資材、ガーデン、エクステリアと幅広い。
- 業務用の衛生マスクとしては、サージカルマスクを取り扱う。Vフィット立体マスクや3層立体型マスク等。ネット販売でもよく出回っている。NM3-50RMホワイトは、BFE(バクテリアバリア性試験)97%以上の3層高性能フィルターを採用した立体型マスク。
- 川本産業
- 衛生材料、医療用品、医薬品、介護用品、ベビー用品、衣料品等の製造販売および仕入販売を手掛ける。大正3年創業でメーカー機能と卸を行う商社機能の二つを持つ。
- 日本製のプリーツタイプサージカルマスクを手掛ける。使い切りサージカルマスクは、ASTM F2100-11(医療用マスクの米国標準規格)にも対応した優れた液体防護性サージカルマスク。
- 阿蘇製薬
- 国内最大手の救急絆創膏メーカー。1960年には国内初の救急用絆創膏を開発。マスクとしてはデルガードシリーズがある。不織布マスクは、不織布3層構造でほこり・花粉をガードし、立体プリーツ加工で口元の空間をキープすることを特徴とする。抗菌マスクは、高品質抗菌ガーゼを採用し、ソフトな肌ざわりと保湿・保温性に優れる。コットン100%ガーゼを使用
- ピップ
- 1946年設立、フジモトHD子会社。医療衛生用品、健康食品、ベビー用品、ヘルスケア用品、日用雑貨、医薬品、医薬部外品、医療機器などの卸販売。ピップエレキバン、ピップマグネループ、スリムウォークなどの自社開発商品の製造・販売を手掛ける。マスクとしては、プリーツガード呼吸快適マスクシリーズがラインナップにある。
- 宇都宮製作
- 大阪府大阪市にて、医療・工業・産業(食品産業含む)分野における各種手袋等衛生材の製造・販売・卸、ゴム・樹脂加工品販売、介護・看護用品販売を手掛ける。
- シンガーブリージーマスクは、ポリプロピレン・ポリエチレン・ナイロン・ポリエステルを素材とし、食品工場等の暑さ対策や、メガネのくもり軽減にも効果。シンガー立体型電石マスクは、電石不織布により、通気抵抗を上げることなく、粉塵、花粉などを吸着。やわらかくワイドなゴム紐の採用で、耳への負担を軽減した製品。
- エスパック
- 東京都江東区にある不織布バック、風呂敷、衛生商品、OEMを手掛ける会社。衛生品として、業務用不織布エプロン、機能性国産マスク、三層マスクを手掛ける
- 日本バイリーン
- 総合不織布メーカーのパイオニア。マスクとしては、フルシャットマスク シリーズ(家庭用不織布マスク)や椿オイル配合したものなどに特徴。
- 橋本クロス
- 1972年設立した滋賀県長浜市にある工業用のワイピングクロスや制御盤フィルター、紙ウエス、布ウエス、除菌ワイパー、クリーンルームで使えるワイピングクロスなどの製造・販売を行うメーカー。
- 口元が透けにくく、呼吸がしやすい2層・耳掛けタイプの不織布マスク。スーパー・外食産業半導体・液晶工場水産加工工場、製薬工場、食品工場向け。
- ウチダ
- 1952年に和洋紙、うちわ紙の販売を目的として個人で創業。ポケットティシュ、ウェットティッシュ、うちわ、ノベルティを手掛けるメーカー。香川県丸亀市にある。 マスクとしては、3層ストレッチマスクを手掛け、細菌を含む飛沫、99%を3層構造のフィルターでカット。
- アズフィット
- 1653年(承応2年)、江戸の商業地・日本橋大伝馬町に紙卸問屋として創業した小津清左衛門店を祖業とする小津グループの一員。東京都中央区にて家庭紙・日用雑貨及び事務用品の卸売、製造販売を手掛けている。
- マスクとしては、息らくらく 超ワイドマスク、クリーンエイド 耳ふわプレミアムマスク等がある。
- 王子ネピア
- 王子製紙の子会社。ネピアブランドのティッシュの知名度が高い。ティシュ及び紙パルプ加工品、ならびに紙おむつの製造、加工ならびに販売を行う。マスクとしては、ネピア 鼻セレブマスクがある。
- 大木製薬
- 医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、健康食品、コンタクトレンズケア用品および衛生用品、日用品、雑品の製造ならびに販売、医薬品の輸出入を手掛ける。ルーツは古く、万治元年(1658年)江戸にて、漢方医にしか処方・投与できなかった漢方薬を一般向け大衆薬として開発、発売。
- ウイルス対策マスクとしては、EUのFFP2規格に適合。アヒルのクチバシ型(オーバーヘッドタイプ)の密着立体タイプのマスクがある。
- また、FSC・F-99E 微粒子汚染物質対応呼吸用マスクや、ウイルオフマスク NV-99Aなどウイルス対策高密着立体型などに特徴。 アメリカ軍規格試験である生体ウイルス遮断効率試験(VFE)の結果:99.1%以上の遮断効率 (ネルソン検査研究所 試験No.251129)、FDA(アメリカ合衆国食品医薬品局)基準試験であるラテックス微粒子遮断効率試験(PFE)の結果:99.3%以上の遮断効率 (ネルソン検査研究所 試験No.251130)。
- 興和
- 1894年に綿布問屋として創業。興和グループの中核企業として、繊維・機械・建材などの輸出入や三国間貿易を行う商社機能と、医薬品・医療用機器・環境・省エネ関連製品などのメーカー機能をあわせ持つ。
- 病院など医療機関向けの医療用医薬品から、眼底カメラを中心とした医療関連機器を取り扱う。 純日本製をうりにした三次元マスクを上市。高機能5層構造を採用した「メディカル発想」のマスク。 ダブル捕集フィルターが空気中の微粒子(0.0001mm=0.1μm)を99%カット(透過性試験測定値。ネルソン研究所)。 銀系抗菌フィルター内蔵しており、効果のある菌に対しては、フィルター表面の菌の増殖を抑制。
- サラヤ
- 1952年創業、大阪市に本社を置く家庭用及び業務用洗浄剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売を行う企業。ヤシノミ洗剤でも有名。
- サラヤ サージカルマスク(LEVEL1)は、細菌・微粒子バリア性と液体バリア性に優れた不織布3層構造。医療用マスクの米国規格ASTM-F2100-11に適合した医療用マスク。より基準の厳しいサラヤ サージカルマスク(LEVEL2)もある。
- 小林製薬
- マスクとしては、スチーム効果でのどをうるおし続ける「のどぬ〜るぬれマスク シリーズ」を上市。
- 白元アース
- 東京都台東区にある。アース製薬グループ。白元から主な事業を譲り受け、防虫剤「ミセスロイド」「パラゾール」、除湿剤「ドライ&ドライUP」、保温具「ゆたぽん」、保冷剤「アイスノン」、脱臭剤「ノンスメル」、マスク「快適ガード」、くつした止め「ソックタッチ」などをメインに新たな会社として事業を開始。
- マスクとしては、「快適ガードプロ」 「快適ガード贅沢仕立て」 「快適ガード コットンマスク」 「快適ガードのど潤いぬれマスク」 「快適ガードさわやかマスク」 「快適ガード スタンダードマスク」 「ビースタイル」 「快適ガード息ラクールマスク」といった幅広いラインナップ。ノーズクッションがメガネのくもりをカットし、息をらくにする快適フィルターを採用。0.1μmの微粒子・花粉・ウイルス飛沫を99%カット。
- 竹虎
- 1914(大正3)年創立の医療衛生材料、医療機器、医薬部外品、化粧品、歯科用品等の開発・販売及び輸出入を手掛ける企業。 サージマスクがラインナップにある。
- 白鳩
- 昭和33年創業、名古屋市南区のマスク、アパレル、その他繊維製品の企画・製造・販売を手掛けるメーカー。日本ではじめて民生用マスクを開発。医薬メーカー、ドラッグストア、 コンビニ、スーパー、ホームセンターなどの小売販売店との長年にわたるOEM実績がある。
- スズラン
- 天保3年より布団綿の製造販売を手掛けている。医療分野をはじめ、衛生用品、ベビー用品、コスメティック用品を事業領域とする、マスクとしては、ドライハーブマスクなどの変わったマスクを上市。また、高機能フィルター搭載の徳用マスクも。フィルターの働きにより、0.1μm以上の粒子を99%カット。BFE、VFE、PFEの試験にて99%カット(フィルタ部性能)
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