プラスチックの絶縁破壊電圧、電気抵抗率(体積抵抗率)、誘電率、耐アーク性の一覧
プラスチックの電気特性のうち、絶縁破壊電圧、電気抵抗率(体積抵抗率)、誘電率、耐アーク性の一覧表となります。電気特性は、プラスチックの分子構造に関係するとされます。
絶縁破壊電圧は、名称が示す通り、電圧をかけていった際、絶縁性を失って電流が流れてしまう破壊電圧のことを意味しています。本表でいえば、例えばPA6は19 kV/mmが破壊電圧となり、絶縁状態が保てなくなる電圧となります。
樹脂やプラスチックは通常絶縁材料ですが、どの程度の電圧をかけた場合絶縁状態を失うかを見る指標となります。
また誘電特性についても高周波電場で使用する状況や、高周波溶着等を見る場合にも一考の必要があるパラメータと言えます。
電気抵抗率については、プラスチックの場合、極性のある材料は小さいことが知られ、反対に無極性のものほど比較的大きい傾向にあります。また吸水率が増加すると電気抵抗率が下がる傾向があるとも言われます。
プラスチックの種類 | 絶縁破壊電圧 (kV/mm) |
体積抵抗率 (Ω・cm) |
誘電特性(60 Hz) | 耐アーク性 (sec) |
備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
誘電率 | 誘電正接 | |||||
PE | >1016 | 2.25から2.35 | <0.0005 | 135から160 | 無極性 | |
PP | >1016 | 2.2から2.6 | <0.0005 | 136から185 | 無極性 | |
PVC | >1016 | 3.2から3.6 | 0.007から0.02 | 60から80 | 極性大 | |
PS | >1016 | 2.45から2.65 | 0.0001から0.0003 | 60から80 | 無極性 | |
PA6 | 19 | 1014 | 3.6 | 0.01 | 120から134 | 極性大 |
POM | 20 | 1014 | 3.7 | 0.01 | 240 | |
PBT | 17 | 1013から1016 | 3.3 | 0.002 | 125から190 | |
PC | 16から18 | 1016 | 3.0から3.2 | 0.006 | 120 | |
PPE | 22 | 1017 | 2.6 | 0.0004 | 75 | |
PAR | 16 | 1016 | 2.7 | 0.0008 | 125から129 | |
PSU | 17 | 1016 | 3.1 | 0.0008 | 122 | |
PES | 16 | 1017から1018 | 3.5 | 0.001 | 20から120 | |
PPS | 23 | 1016 | 3.2 | 0.0004 | 無極性 | |
PEI | 33 | 1019 | 3.15 | 0.0013 | 128 | |
PEEK | 17 | 1016 | 3.2から3.4 | 0.003 | ||
LCP | 25 | 1016 | 4.5 | 0.015 | 122 | |
PFA | 20 | 1018 | 2.1 | 0.0002 | 300 | 無極性 |
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