ハイデンの意味とは

2021年9月5日更新

ハイデンとはプラスチック用語として使われた場合、英語のHigh Density Polyethylene(ハイデンシティポリエチレン)の略語で高密度ポリエチレンのことを意味しています。正式な略称はHDPEとなります。低密度ポリエチレン(LDPE)の俗称であるローデンに対置する言い方でもあります。

ポリエチレンは密度で分類した場合、大きく3つの種類が知られており、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)が主に使用されています。いずれもエチレンを重合してポリエチレンとなりますが、重合するときの圧力や触媒といった製造条件によって密度違いのポリエチレンを作ることができるようなっています。ハイデンとも言われるHDPEは、イオン重合で圧力を数気圧から数十気圧かけて、温度は常温から90℃で製造されます。

高密度であるため3種のポリエチレン(PE)の中では、剛性に優れますが、反面、密度が高いほどおきやすいストレスクラックの弊害もあります。透明性はなく、フィルムのような薄い形状に加工しても乳白色となります。この外観の色は結晶化度によって変わり、透明なLDPEは45から55%、ハイデンとなるHDPEは65から85%になります。耐衝撃性、耐寒性、耐水性、耐薬品性に優れる点はLDPEとも共通しています。

平均分子量は、メルトフローレート(MFR)やメルトインデックス(MI)で示されます。この値が大きいほどに溶融したプラスチックの流動性がよく加工しやすいことを示しますが、強度は低下します。また一般にMFRが低いほど、分子量が多い関係が成り立ちますが、低密度で高分子のものや高密度で高分子のものなど各種グレードがあり、密度と分子量が必ずしも相関しているわけではありません。

二酸化炭素、酸素、窒素といったガスの透過度については、LDPEに比べるとHDPEはガスバリア性能が高く、高密度のほうが水蒸気の透過性も小さくなりますが、他のガスに比べて二酸化炭素の透過度が大きくなる点は、LDPEもHDPEも違いはありません。プラスチックフィルム全体を見ると、ポリエチレンを大きく凌駕する他のフィルムがあるためあまり目立ちません。この用途では他の材質と組み合わせて使われることのほうが多いといえます。

ハイデンの用途は、その強度を活かして買い物袋に多用されています(白濁色のビニール袋)。約3割近くはこうした袋などに使われるフィルムとされます。他、中空成形により作られる容器や瓶の形状のものがこれに続きます。射出成形もLDPEに比べると多くなります。

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