非常用発電機のメーカー、販売会社の一覧
昨今、電力を失うと生産現場や施工現場ではほとんどの活動ができなくなり、なかには一時的なものであっても今後の生産活動に支障をきたすことになるケースもあります。非常用発電機は用途別や規模別に様々なものが販売されています。
非常用発電機と常用発電機は役割が違う
非常用発電機は、何らかの原因で電気の供給が絶たれた際に、一時的に電源を供給する為の発電機です。このため、常用発電機の代わりとしては使うことが出来ませんので、注意が必要です。いわゆる予備電源、非常電源を作り出すための装置で、無停電電源装置と接続する等として急な停電の備えとしても使われます。
常用可能な小型発電機などを非常時に用いることもできますが、法令で定められている「非常用発電機」の括りには入りません。スプリンクラーや非常用エレベータなどの防災負荷・非常用負荷には、法律上、停電時に給電を行う電源設備の設置が義務付けられています。
非常用発電機の届出
これら非常用発電機は設置に経済産業省、消防署への届出が必要となりますが、小型の発電機で内燃式で出力10kW未満のものであれば、これが不要になります。反対に特に出力の大きい発電設備を設置する場合は、工事計画の事前届出も必要です。
非常用発電機の定義
非常用発電機を規定する法令としては、消防法と建築基準法があり、それぞれの定義は以下の通りです。
消防法による非常用発電機 | 建築基準法による非常用発電機 |
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「非常用電源」の扱いで、40秒以内に発電可能(電圧の確立)、燃料の種類については規定はないが、2時間以上もつだけの容量があり、60分以上の連続運転ができるという条件をすべて満たす必要がある。 | こちらは「予備電源」の扱いで、非常用の照明を点灯させたり、排煙機などを作動させる為のもの。40秒以内に電圧が確立できねばならない点は消防法と共通。他、30分以上の連続運転ができ、30分以上の電源供給が防災設備にできることの全てを満たす発電機。 |
消防法における基準と、建築基準法による基準を同時に満たせれば、別々に非常用発電機や非常電源、予備電源を準備する必要はなくなります。この場合、双方の厳しい部分にあわせることで、可能となります。
また上記とは別に、「保安電源」として定義されている電気設備技術基準では、予備電源の一種としての位置付けられており、電源が落ちた際に業務や工場の操業を継続するための発電機という位置付けです。
非常用発電機の種類
非常用発電機は内燃機関によるものが大半で、エンジン(原動機)を備えています。これは燃料と冷却が確保されれば短時間で発電することができ、非常時にも高確率で使うことができるためです。
大別すると、内燃機関の違いにより、ディーゼル発電装置とガスタービン発電装置の2種類があります。
ディーゼルエンジン非常用発電機
小型から大型まで幅広い出力に対応可能で、機種も豊富。非常用発電機としてはこちらの方が多い。デメリットしては、排気の際の煙や騒音面、振動面などがある。運転時の負荷が低すぎると、余計に煙が多くなる。したがって非常用発電機を選定する際には、大は小をかねる、といった具合に余力を残しすぎた選び方はこの 価格はガスタービン式よりも安くなる傾向がある。
ガスタービンエンジン非常用発電機
ディーゼルエンジンに比べてより小型化が可能で、静音設計のものもあり、騒音面や振動面などで優れている。但し、燃料消費が高いため、別途必要な燃料タンクのことを考えると、全体の設備が大型化してしまう。価格は仕様面が同じならばディーゼル型よりも高くなる。
燃焼方式の違い
直接噴射式(低速〜中速)と予燃焼室式(高速)とがあります。直接噴射は燃焼効率に優れ、機械のかかりもよくなり、予燃焼室式は騒音振動を抑えることができるという特徴を持ちます。
冷却方式と空冷方式の違い
水冷方式と空冷方式があります。非常用発電機の冷却方式として主流となっており、大多数はより冷却効果の高い水冷式が採用されています。
方式 | 概要 |
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放流式 | 大量の水を使って冷やす。断水時には使えないものが多い為、災害・防災用途の場合は留意が必要。設備がシンプルとなり、場所もあまりとらない。 |
クーリングタワー式 | 断水でも一定時間であれば発電機を稼動させられる。冷却水は少なくてすむが、このクーリングタワーを設置する場所を確保する必要がある。 |
冷却水槽式 | 水を常に用意しておく必要があるが、水がある限り、断水しても発電可能。ただし水槽は大きなものがいるため、場所と費用がかかる。 |
ラジエーター式 | 冷却水をあまり使わずにすみ、冷却水配管も不要になる。中にあるラジエーターファンに電気をとられるため、その分、出力は少し低下する。 |
方式 | 概要 |
---|---|
空冷方式 | ファンによって発生させる風で冷やす方式。このため、小型の発電機にしか使えない。 |
- 日立製作所
- 非常用発電設備としては日立サンパワーシリーズがあり、心臓部のディーゼルエンジンは、一流メーカーの製品を採用しており、タフさに力点が置かれている。ポータブル式。
- 川崎重工業
- 産業用ガスタービンのパイオニアメーカー。非常用発電設備としてはカワサキPUシリーズを製造開発しており、停電や災害など万一の非常時のバックアップ電源として活用可能なガスタービン発電設備。出力150kVAから6,000kVAまで全21種類をシリーズ化し、7000台を超える納入実績がある。
- 日本車両
- 非常用発電装置のパックパワーシリーズは地震・火災などの停電時に電気を供給する発電装置で停電より40秒以内(オプション装着:10秒以内可能)に送電可能。消防法適合品で、屋内型・屋外型あり。同社は鉄道車両や橋梁・建設機械・電機品・営農プラント・化学工業用機器・特殊自動車・コンテナ・新交通システム・搬送システムを手がけている。
- 山洋電気
- 移動型発電装置としては、非常時用・停電作業時用として開発された車載型のものがある。ワンボックスカータイプとトラックタイプの二種。ほか、無停電電源装置(UPS)や、工場内でのいわゆる「瞬低」でも電力供給を可能にする瞬時電圧低下補償装置、太陽光発電システム用パワーコンディショナ等も手がける。
- ダイハツディーゼル
- 非常用発電用ディーゼルエンジン、非常用発電用ガスタービン、非常用発電装置などを手がけるエンジン、ガスタービンメーカー。オフィスから工場まで、設置場所は屋上から地下室まで対応可能な各種のガスタービンを取り揃えている。
- 東芝(社会システム社)
- 電力会社から22〜77kVの特別高圧で受電するために必要な設備から、上下水道施設の非常用電源としても用いられる自家用発電設備(ガスタービン、ディーゼル)などの各機種を取り扱う。
- デンヨー
- 発電機のリーディングカンパニー。一般停電用予備発電機(単相、三相)から非常用発電機、簡易常用、停泊用、灯油仕様や電源車などを発電機メーカーならではのラインナップを取り扱う。
- トヨタタービンアンドシステム
- 防災用発電装置・移動電源車が紹介されており、他の製品として太陽光発電(ハイブリッドソーラーシステム)やマイクロガスタービンによるコジェネレーションシステムやVOC処理システムがある。同社はコジェネレーションシステムの開発製造を手がけるトヨタグループのメーカー。
- 本田技研工業
- 非常用発電機としては、タフな発電力と運転時間を持つ自動起動式設置型発電機がある。また通常の小型発電機も製造する。
- 三菱重工
- 非常用発電機としては、ラジエータ冷却式三菱ディーゼル発電機があり、これは自動車用エンジンと同様に冷却水を循環させるタイプのため、水の継続した供給が不要。停電信号を受信してわずか10秒から送電が可能。熱効率、低燃費、防音、耐震性を特徴とする。
- 明電舎
- 非常用発電設備としては、ディーゼル発電のものと、ガスタービン発電のものを紹介。全国各所のビル、ショッピングセンター、病院など数多くの納入実績がある。環境配慮型ディーゼルエンジンを採用しており、起動時や急激な負荷変動による黒煙排出量を大幅に低減。
- 東京電機
- 非常用や防災用の発電機・発電装置の設計、製造、据付、メンテナンスまで行うメーカー。1920年創業。キュービクルタイプ全自動自家発電装置を防災用、非常用の他に、コンパクトジェネレータ等、5kVA〜3000kVAまでの各機種を取り揃えている。
- やまびこ(新ダイワ工業を吸収合併)
- Shindaiwaブランドで小型のエンジン発電機を製造販売しており、ガソリンエンジン発電機、インバータ発電機(ガソリン、ガス、ディーゼル)、消防法適合品でもある防災設備用発電装置をラインナップに持つ。
- 東洋電機製造
- 国内発電設備システムとして、防災用、一般非常用発電装置 (キュービクル式、ガスタービン式)を紹介。同社は交通事業・産業事業・IT事業の3分野で事業を展開する重電メーカー。
- 西芝電機
- 非常用自家発電装置は、マイコン制御形、キュービクル形、オープン形、ガスタービン形の4タイプがあり停電時に自動的に発電機を駆動し、保守用設備や消防用設備等に電力を供給することを目的とする。同社は東芝から分離して誕生した発電産業システム、船舶海洋電機システムを手がける重電メーカーで主要製品としては、主要駆動発電システム、パワーエレクトロニクス応用製品、電動力応用システム、発電機各種、電動機、送風機、制御装置・システム、コジェネレーションシステム、エアコンプレッサ等がある。
- 富士電機
- 給電対策用電源として、無停電電源装置(UPS)、瞬低保護装置、非常用発電装置をラインアップとして保有。非常用のものは災害対策用の長時間仕様。寒冷地、全天候対応など多様な機種がある。
- ヤンマー
- 非常用発電ユニットとしては50Hzと60hzに対応。ラジエター冷却方式と放水循環冷却方式の二種類がある。発電機出力ごとに様々な機種のラインナップがある。非常用のほか、防災設備用発電機、常用発電機、太陽光発電システムを手がける。
- 国産電機
- 2016年1月にマーレグループとなり国産電機からマーレエレクトリックドライブズジャパンに社名変更。業態も変更。以前は、エンジン発電機用製品として屋外作業・非常用電源・レジャー等で使用可能な小型のものを製造開発。
- 澤藤電機
- ガソリンおよびディーゼルエンジン発電機の総合ブランドであるELEMAXを展開するメーカー。世界各国に非常用及び常用発電機として販売。本製品は主として海外向けのため、各国の電圧・周波数に合わせた機種及び1kVAから25kVAの範囲の出力に対応。
- エム・エス・ケー農業機械株式会社
- トラクター駆動非常用PTO発電機。台風、地震、雪害、落雷等の非常時(停電期間)の三相電源、単相電源の確保に有効で、非常時以外は移動用の電源としても活用可能。三菱商事系の農業用トラクターやその部品の輸入販売を主に手がけている。
- ヤマハ発動機
- 発動機の選び方から一般向けとしてもわかりやすい解説。ラインナップにはインバータ発電機、ホームセンター専用モデルなど。
- 富士重工業産業機器カンパニー
- ポータブル発電機、オープンフレーム、防音型など。空冷ガソリンタイプ。
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