fcmp80-01の特徴、材質、機械的性質|パーライト可鍛鋳鉄の機械的性質、引張強さ、伸び、硬さ、特性
FCMP80-01はパーライト可鍛鋳鉄品で、焼入れ焼き戻し後で最小の引張強度が800MPa以上と規定された鋳鉄です。強度が高い部類の鋼と遜色のない可鍛鋳鉄で、可鍛鋳鉄の規格の上では最強のものとなります。ただし、この強度と引き換えに、伸びは同規格内で最も低くなります。
パーライト可鍛鋳鉄であることを示すFCMPの後に続く80は最小の引張強度を10で割った数字になっており、それに続く枝番の−01というのは最小の伸びをパーセンテージで表示したものです。
可鍛鋳鉄は、熱処理の方法次第で白心可鍛鋳鉄、パーライト可鍛鋳鉄、黒心可鍛鋳鉄といった種類に分岐していく材料で、生まれともいえる成分とともに育ちともいえる熱処理の加工によって粘りや強度、伸びを制御することができる鋳鉄でもあります。本材料は引張強度に重点を置いたものとなります。
なお、諸外国の規格で相当材があるのはFCMP70-02までです。
FCMP80-01の機械的性質
この材料については油焼入れ後、焼戻した後のパラメータとなります。
可鍛鋳鉄の記号 | 試験片の直径(mm) | 引張強さ N/mm2以上 |
0.2%耐力 N/mm2以上 |
伸び %以上 |
硬度 HB以下 |
シャルピー吸収エネルギー |
---|---|---|---|---|---|---|
FCMP80-01 | 12もしくは15 | 800 | 600 | 1 | 270から310 | − |
「JIS G 5705 可鍛鋳鉄品」に規定のある材料記号
スポンサーリンク
>このページ「fcmp80-01の特徴、材質、機械的性質|パーライト可鍛鋳鉄の機械的性質、引張強さ、伸び、硬さ、特性」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- 鋳鉄とは
- 耐熱鋼鋳鋼品、SCHの種類と用途、成分、耐熱温度など
- 金属の低温脆性
- 高温高圧用鋳鋼品|SCPH材の特性、成分、材質、比重、機械的性質の規格
- SCS(ステンレス鋳鋼品)の種類と材質、成分、規格
- アルミニウム合金鋳物の種類の一覧
- アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴|材質、比重、機械的性質など
- 銅合金鋳物、鋳造品の用途、成分、種類、記号について
- ねずみ鋳鉄品(FC材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 球状黒鉛鋳鉄品(FCD材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 炭素鋼鋳鋼品(SC材)
- 溶接構造用鋳鋼品(SCW材)
- 構造用合金鋼鋳鋼品(SCC, SCMn, SCMnCr, SCCrM等)
- 高マンガン鋼鋳鋼品(SCMnH材)
- 鋳鉄の比重について
- 鋳鉄の耐熱温度はどれくらいか
- ニクロシラルとは
- ニレジストとは
- 耐食鋳鉄とは
- 耐熱鋳鉄とは
- チルド鋳鉄とは
- ミーハナイト鋳鉄とは
- 可鍛鋳鉄とは
- フェライト
- パーライト
- オーステナイト
- 鍛造と鋳造の違い
- 鋳造と鍛造の使い分け
- 炭素鋼鋳鋼品(SC材)の用途、機械的性質、成分の一覧
- 鋼、鉄、鋳鉄はそれぞれ何が違うか
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
- 鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
- 鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
- 金属単体の比重、密度の一覧表
- 金属の融点、沸点の一覧表
- 金属の熱伝導率の一覧表
- 金属材料の硬度の一覧と比較
- 鉄鋼材料の種類
- 炭素鋼と合金鋼の違いと使い分け
- 合金元素の果たす役割
- 鉄鋼、炭素鋼、合金鋼の焼入れ深さ
- 焼入れ性とは