鉄鋼や合金、セラミックス、非鉄金属、樹脂、ゴムやプラスチック、繊維などの加工材料の性質と特徴

2022年6月19日更新

砥石で加工される材料や素材は多岐にわたります。鉄鋼材料から、ニッケル合金、アルミ合金、チタン合金、銅合金、マグネシウム合金、FRP(強化プラスチック)、石材、ガラス、セラミックス、磁性材料、ゴム、プラスチック、ゴム、樹脂、超硬、フェライト、焼結体各種、半導体、サーメット、PCD、宝石など枚挙に暇がありません。また今日日は繊維やガラス等で強化されたプラスチック等、従来の加工法では容易に加工できないものも出てきています。このコーナーでは、こうした材料の機械的特性や特徴、成分などを見ていきます。なお、JIS規格などで材料の機械的特性についての規定がある場合、寸法に留意する必要があります。材料によっては寸法が変われば、機械的特性も変わります。

鉄鋼材料

鉄に添加元素を加え、炭素量を調整すると鋼になります。鉄や鋼は元々の成分と、その後の熱処理(焼入れや焼戻し等)によって様々な性質を持つことができる材料です。鍛造品、鍛鋼品、鋳鋼品等製法によっても機械的性質の値は違います。代表的な鋼である炭素鋼や鉄系の材料を紹介していきます。様々な工業・産業の礎となる材料の一つです。

アルミニウムとアルミニウム合金

非鉄金属に分類されるアルミには、展伸材と鋳物材の違いがあり、それぞれについて添加元素を変えることで強度や耐食性などの性質を変化させていくことができる材料です。アルミニウム合金は、展伸材ならば4けたの合金番号で品種を区別しています。アルミ合金は添加されている元素が異なると、強度だけでなく、加工のしやすさといった機械的性質も大きく変化します。

亜鉛合金の種類と特徴

亜鉛合金は、寸法精度を出しやすく、衝撃にも強い性質を持ち、振動を吸収する性能、いわゆる減衰能に長けた材料でもあるため、精密機器や携帯機器の部品、筐体、超合金を銘打った「おもちゃ(玩具)」、自動車のモール、時計のケース、ドアレバーなどのめっき部品、塗装部品などが知られます。JIS規格ではダイカスト用としてZDC1とZDC2の二種類が規定されています。

ニッケル合金の特性、用途、種類

ニッケル合金の多くは、各社の持つ固有の登録商標名で呼ばれることが多い材料です。高い耐食性を特徴とするものや高温下での耐食性、強度のほか、透磁性などあるパラメータの向上に特化したものが多いといえます。代表的な合金としては、モネル、ハステロイ、ニクロム、インコネル、インバー、パーマロイ、コンスタンタン、コバール、アルメル、クロメル等があります。

マグネシウム合金と純マグネシウム

マグネシウム合金はその「軽さ」で知られる素材で、切削抵抗が小さいことも特徴的です。記号での表記にはASTMの記号がよく使われます。

マグネシウム合金鋳物の材料

マグネシウム合金ダイカストの材料

チタン合金と純チタン

チタンには、純チタンと、耐食チタン、チタン合金の3類型あり、このうち、チタン合金にはα合金、α−β合金、β合金の3種類あります。またぞれぞれに展伸材と鍛造材、鋳物材があり、材料記号はすべてアルファベットのTからはじまります。

銀合金の種類|銀合金の組成や融点、硬度、特徴について

銀の種類とは、すなわち銀合金の種類のことであり、純度のバリエーションのことでもあります。JIS規格では、貴金属製品やジュエリーに使われる銀の純度として3パターンを規定しており、銀の成分をそのまま数字で表しています。すなわち、925、835、800の三種類あります。

金の種類|金合金の持つ色や成分、純度について

金やゴールドといった場合、単一の元素であるAuのみで成分が構成されており、種類など一つしかないと思われがちですが、金には純度と添加している他の金属元素によっていくつもの種類があります。この場合の金とは、正確には金合金となります。金の種類とは、「金の純度」と金に添加されている他の金属の成分の組み合わせのことになります。

ホワイトメタルの種類と融点、用途、成分

ホワイトメタルは、商品名のバビットメタルとしても知られる合金で、主に滑り軸受用合金として使われます。融点は後述の成分比にもよりますが、概ね220℃〜240℃前後のものが多いようです。硬度はブリネル硬度で15〜30前後、成分は「スズ」「アンチモン」「銅」「鉛」の合金で、JISでは11種類が規格化されています。

ハンダの成分表と融点、比重の一覧|はんだの種類の一覧

ハンダはその成分から、大別すると鉛含有ハンダと、鉛フリーハンダの2種類に別れ、さらにその中で成分の違いから融点の異なるものが多数規格化されています。鉛含有ハンダは19種類、鉛を含まない鉛フリーはんだは30種類の合計49種類がJISで規格として規定されています。鉛を含むはんだは、共晶はんだとも呼びます。ハンダの比重は、鉛を含むものほど重く、もっとも大きいもので11程度、通常は7.3から7.4前後の比重のものが多いです。

プラスチックの種類と用途、特性

プラスチックには多様な種類のものが実用化されていますが、大きく分けると熱可塑性のものと、熱硬化性のものがあります。軽いだけでなく、強度の高いものや比較的耐熱性に優れた素材も開発されてきています。これらの用途や物性、特性について見ていきます。

樹脂などのフィラーの種類と特性、役割

プラスチックや樹脂、ゴムなどの高分子材料は、中にフィラーと呼ばれるミクロサイズやナノサイズの物質を混ぜ合わせることで、強度や耐熱性、各種耐性を高めたり、新しい機能を持たせたり、コストを下げたりといったことが可能になります。フィラーは充填材とも呼ばれます。このフィラーの持つ役割や特徴、種類について見ていきます。

顔料と染料の違いと種類

顔料や染料には様々な種類があり、顔料はプラスチックや塗料の着色に使う色素で、染料は繊維や紙の染色に使用される色素というのが一般的な違いの説明として用いられますが、これを少し詳細に見ていくと、着色する対象に限定されているわけではないことが分かります。例えば、繊維の着色に顔料を使うこともあり、用途だけの分類では説明がつかなくなってきます。こうした顔料、染料の種類や関連する塗料などの特徴もまとめていきます。

ゴムの種類と特性、物性について

ゴムはプラスチックとは違い、形状がもとに戻る点を特徴とし、産業上多くのシーンで不可欠なものとして、使われています。その多くは他の素材では置き換えることが難しいもので、こうした点でも数ある素材の中でも特異な材料のひとつと言えます。ゴムには天然ゴムと合成ゴムがあり、技術の発展とともに様々な種類のものが開発されてきています。ここではこれらゴムの種類や特徴について見ていきます。

熱可塑性エラストマー(TPE)の物性と種類

熱可塑性エラストマーとはTPE(Thermo Plastic Elastomer)とも言われ、環境によってゴムであったりプラスチックであったりする性質を持つ樹脂のことです。弾性などの物性の上でも、ゴムとプラスチックの中間的な値を持ちます。TPEは熱で変形する性質を持つものの、ゴムと異なり、劣化しない点を特徴とします。

セメントの種類、成分、用途について

セメントは粉末状の材料で、ほとんどがコンクリートを製造する際の原料として使われますが、これにもいくつかの種類があります。その種類や成分、特徴、物性などについて見ていきます。

石材の種類、成分、用途について

石材は墓石や建材、インテリア、エクステリア、彫像、記念碑などに使われますが、市場で主に出回っているものは「御影石(花崗岩)」と「大理石」に分類することができます。

建築石材の種類

石材のうち、特に建築や建造物、構造物用途の「建材」として使われる建築石材の種類とその特徴についてまとめています。

コンクリートの種類と性質について

コンクリートの種類は、分類によって複数の分け方があり、同じコンクリートであってもいくつもの分類に当てはまることがあります。ここでは代表的なコンクリートの特徴について述べていきます。

木材の種類と特性、強度について

木材の主成分はセルロースやリグニンといった繊維質のもので、網目状、鎖状に細胞が組み合わさることで強靭な構造を作り出しています。工業材料と異なり、広葉樹や針葉樹などの樹種だけでなく、木の生育環境や伐採時期、含水率などが強度などの物性、変形などに影響する材料です。

木質ボードの特徴と種類

木質ボードは、基本的に木っ端や木屑を接着剤で固めたものであるため、素材は「樹木」と樹脂の混合品となり、木材固有の方向性がありません。このため、大判の木板にしても狂いが少ないものができるため、建材の用途としては幅広い需要があります。

ガラスの種類と成分、融点、比重、熱伝導率などの物性

多くの工業分野、産業で使われるガラスには多様なものが開発されており、現在では従来のガラスでは考えられなかった物性を持つものも市場には出てきています。ガラスは添加する材料、組成成分と製法、のちの熱処理によって物性にはかなり違いが出てくる素材の一つです。

レンガの種類と強度、吸水率

レンガ(煉瓦)は、主に粘土や泥などを高温で焼き固めたセラミックス材料の一つで、焼き物でもあります。建築材料として使われるほか、花壇や庭にも装飾用途でよく使われる素材で、一般的には長方体の大きさで、人が手で積んだりできるサイズになっています。

繊維の種類と特徴

繊維の種類は、大きくは「天然繊維」「化学繊維」に分けられますが、使用用途に応じてうまく使い分けられています。主として、素材レベルでの「構成材質」、「断面形状」など繊維のもつ形、糸に加工する場合は、その加工方法などによって性質が異なってきます。また、繊維は他の三次元の物体とは異なる性質を持つため、同じ原材料であっても、繊維とそれ以外の形態とでは物性を別個に検討したほうがよいと言うことになります。

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