FCV500の機械的性質、引張強さ、耐力、伸び、硬度、ポアソン比、熱伝導率、熱膨張率|CV黒鉛鋳鉄品の規格
FCV500はCV黒鉛鋳鉄品として最も高い強度を持つグレードです。また反対に延性はもっとも低くなり、切削性についても最も低い為、非常に加工しづらいグレードではあります。摩耗抵抗については同種の中で最も高くなります。こうした特性の為、用途としては、シリンダーライナーや自動車用のなかでも高強度のシリンダブロックに使われます。
なお、金属組織の全面がパーライトとなっています。
常温と、400℃とでは引張強さが100MPa近く低くなります。また、耐力についても50MPaほど低下します。
FCV500の機械的性質
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|
FCV500/S | 500以上 | 350以上 | 0.5以上 | 180から260 |
CV黒鉛鋳鉄の種類 | 厚み t(対象となる肉厚) mm |
引張強度 N/mm2 |
0.2%耐力 N/mm2 |
伸び % |
ブリネル硬さ HBW 10/30(参考値) |
---|---|---|---|---|---|
FCV500/U | t≦12.5 | 500以上 | 350以上 | 0.5以上 | 180から260 |
12.5<t≦30 | 500以上 | 350以上 | 0.5以上 | 180から260 | |
30<t≦60 | 450以上 | 315以上 | 0.5以上 | 180から260 | |
60<t≦200 | 400以上 | 280以上 | 0.5以上 | 180から260 |
温度によるFCV500の機械的性質、物理的性質の変化
物理特性・熱的特性 | 単位 | 温度 | FCV500 |
---|---|---|---|
引張強度 | N/mm2 | 23℃ | 500から575 |
100℃ | 475から550 | ||
400℃ | 400から475 | ||
0.2%耐力 | N/mm2 | 23℃ | 350から400 |
100℃ | 325から375 | ||
400℃ | 300から350 | ||
伸び | % | 23℃ | 0.5から2.0 |
100℃ | 0.5から1.5 | ||
400℃ | 0.5から1.5 | ||
弾性係数 | kN/mm2 | 23℃ | 145から160 |
100℃ | 140から155 | ||
400℃ | 135から150 | ||
疲労限度比、回転曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.43から0.48 |
疲労限度比、引張圧縮疲労試験 | − | 23℃ | 0.20から0.30 |
疲労限度比、3点曲げ疲労試験 | − | 23℃ | 0.55から0.65 |
ポアソン比 | - | - | - |
密度、比重 | g/cm3(密度) | − | 7.0から7.2 |
熱伝導率 | W/(m・K) | 23℃ | 36 |
100℃ | 35 | ||
400℃ | 34 | ||
熱膨張係数 | μm/(m・K) | 100℃ | 11 |
400℃ | 12.5 | ||
比熱 | J/(g・K) | 100℃ | 0.475 |
「JIS G 5505 CV黒鉛鋳鉄品」に規定のある材料記号
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