プラスチックの黒点の発生原因
プラスチックは限度を超える温度を加えると、黄変し、さらに温度を加えると黒化してしまいます。
プラスチックの中や表面にまれに見える黒点とは、こうした黒化した樹脂の炭化物が製品に混入することで発生したものです。いわゆるプラスチックの焦げといってもいいかもしれません。
なぜプラスチックが黒化するまで加熱されたかといえば、材料を金型へ送り込むためのスクリュや加熱筒に材料の一部が残ってしまい、結果として長時間熱を受ける状況になってしまっているケースがまずは考えられます。
さらに、実際にプラスチック製品に黒点が出るのは、このスクリュ等のなかに残留している黒化した材料がはがれ、通常の材料に混入して成形されてしまうからです。
加熱シリンダや加熱筒とプラスチックの成形品が接している部分には安定皮膜が形成されていますが、黒い炭化物はこの安定皮膜が破壊されて、樹脂材料が焼けカスとなってしまったものです。これがスクリュなどで金型へ送り込まれる際に、一緒に流し込まれていくため、こうした不良となってしまいます。プラスチック製品の多くは透明か、半透明のものが多く、発生時にはかなり目立つ不良となります。
PC、PMMA、PE、フッ素樹脂などでおきやすいとされます。
対策としては、スクリュの中をはじめ、材料を一旦取り出してやる必要があります。方法としてよく知られるのは、樹脂が溶ける温度ぎりぎりの低温まで下げた状態でスクリュを高速回転させて残っている炭化した樹脂材料をパージする方法や、大掛かりな作業とはなりますが、スクリュや加熱シリンダを分解して内部を清掃する方法などがあります。
予防対策としては、加熱筒の中部、後部の温度を上げすぎない、材料はきちんとパージしてスクリュ内に古い材料を残さない、スクリュの材質を再検討(残留しにくい、付着しにくいもの)、ヒータをきらずに保温等もあります。
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