フィルム蒸着|メーカーの一覧

2012年1月7日更新

フィルム蒸着は、「蒸着」の分野としては最も日常生活に身近なものかもしれません。というのも、食品や菓子などの袋(包装材料)の多くは、湿気が入らないようこの技術を用いたものが使われています。あるいは薬などの包装や、果物などの包装に使われるものもこの技術なしにはあり得ません。

これらの多くは、

  • 電気特性
  • バリア特性
  • 光学特性

を付与することで、高機能フィルムとして市場に出回っています。

身近なスナック菓子の袋を例にすると、技術としては、基材となるフィルムにアルミ、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素などの多層膜が蒸着されたもので、ガスバリア性能が付与されています。

またビルや建物のガラス窓に貼られる断熱フィルム、遮熱フィルムもこの技術が使われています。蒸着にとって光学特性の制御は十八番ともいえるもので、赤外線をカットする蒸着を施せば、外部からの熱線のカットや建物内の保温性能を維持することも可能です。また紫外線を遮断し、採光を損なわないようなるべく可視光を透過させる率を高める工夫も可能です。

そのほか、防眩(アンチグレア)効果を持つフィルムを、液晶ディスプレイやPDPディスプレイ、タッチパネルに用いたり、電磁波シールドの役割を持つフィルムや透明導電膜をつけたフィルムもあります。

製造上、光学部品などに使われる蒸着と原理は同じですが、基板に相当する「基材」がフィルムであるため、ロール状のままセットし、高速でロールが回ることで、フィルムを出し、向かい合う片方ではロールを巻き取っていきます。その間で真空蒸着が行われます。

尾池工業
京都市下京区にあるフィルム蒸着の老舗メーカー。ドライコーティングを基盤技術として持ち、食品を酸化から守る蒸着フィルムなどの「包装材料」を、他社に先駆けた高度なドライ&ウェットコーティング技術で製造。
コーテック
東京都品川区にある蒸着フィルム加工メーカー。スタンピングホイル(転写箔)としてポリエステル、アルミ真空蒸着・コーティング製品、金銀糸関係としてポリエステル、純銀真空蒸着製品、装飾用フィルムとして塩化ビニール、アルミ蒸着・コーティング製品を手がける。
サイチ工業
滋賀県草津市で金銀糸、真空蒸着製品、各種コーティング製品を手がける。
中井工業
京都市上京区で包装・農材等向けに保温・バリア等の機能を備えたアルミ蒸着フィルムや金銀糸、転写箔などを製造販売する。
麗光
京都市右京区で西陣織などに使われる金銀糸のメーカーとして生まれ、金属蒸着フィルムの技術を活かし、包装材料や電子機器材料などの分野でも知られる高機能素材メーカー。
和信化学工業
長野県駒ヶ根市で木材用塗料事業、フィルム関連事業の2つをコア事業とするメーカー。フィルム関連事業では、スタンピング箔の製造販売、特殊塗料などの製造開発する。

薄膜の特性、主な蒸着材料【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。誘電体膜には酸化物やフッ化物などのセラミックス材料を原料としたものが多く見られます。

酸化物の薄膜材料と特性

フッ化物の薄膜材料と特性

窒化膜

炭化膜

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