TiN(窒化チタン)コーティングの特徴と物性|硬度、色、熱膨張係数、融点、密度、比重
TiNの用途としてよく知られるのは、切削工具、機械部品、プラスチック成型、スポーツ用品、装飾品などのコーティング用途です。特に切削工具ではもっともよく見るコーティングで、刃の部分に独特の黄金色がついているものはほとんどがこのTiN(窒化チタン)の膜です。色が金色であることから装飾品に使われることもあります。
最高使用温度は一般に600℃までとされます。コーティングとしては硬度は2000前後〜2300程度まで出ることが知られています。
TiNは耐摩耗性や耐食性を付与するコーティングとしてよく知られます。強度に優れた膜でありますが、他の窒化膜のなかではやや耐食性は弱い面を持ちます。
樹脂離型性にも優れるため、金型や部材に薄膜として使われることもあります。耐酸化性も一定の600℃以下ならば期待できます。
なお、膜の硬度は、同種のコーティング膜として比べて低めになっています。
TiN(窒化チタン)の物性
TiN(窒化チタン)のバルクとしての密度、比重、融点、熱膨張係数、熱伝導率、摩擦係数、ヤング率、曲げ強さ、引張り強さ、圧縮強さ、クリープ、硬度、衝撃強さなどの物性の参考値です。
組成、化学成分 | TiN |
---|---|
比重、密度(g/cm3) | 5.25 |
融点(融点分解点) ℃ |
2950 |
熱膨張係数 x10-6/℃ |
7.75(室温〜900℃) |
熱伝導率 cal/cm・s・℃ |
− |
摩擦係数 | 0.1から0.5 |
ヤング率 x104kgf/mm2 |
− |
ポアソン比 | − |
曲げ強さ kgf/mm2 |
35(室温) |
引張強さ kgf/mm2 |
− |
圧縮強さ kgf/mm2 |
− |
クリープ ε(%) |
− |
硬度、硬さ (Hv) |
1200〜1900前後(室温) |
衝撃強さ kgf・cm/cm2 |
− |
臨界熱衝撃温度差(ΔTc) ℃ |
− |
特徴 | 黄金の薄膜、反射率に優れる、靭性に優れる。耐摩耗性が高い。 |
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