CeO2（酸化セリウム）の特性
CeO2（酸化セリウム、セリア）は可視光から中赤外に透過波長域を持つ高屈折率材料の一つです。結晶質の膜を形成し、化学的安定性、熱安定性に優れ、シリコンとの格子整合性があるとされています。 可視光を透過波長域に持つ高屈折率材料の中では、比較的低温で蒸発することが知られています。材料そのものは湿気の少ない冷暗所で保管する必要があります。
| 屈折率 | 2.2（550 nm近辺） |
|---|---|
| 使用波長域 | 0.4 ～ 12μｍ |
| 蒸発方法 | EB（電子ビーム）、RH（抵抗加熱） |
| 蒸発源材料 | タングステン |
| 蒸発タイプ | 昇華型 |
| 膜質 | 結晶質、やや硬い |
| 応力 | 圧縮 |
| 主な用途 | 光学膜、反射防止膜、多層膜など |
| 理論密度 | 7.3g/cm3 |
|---|---|
| 融点 | 1950℃ |
| 沸点 | - |
| 性質 | 水溶性：不溶 耐薬品性(酸、アルカリ)：酸に難溶 HClに不溶、可溶（H2SO4,HNO3）※１ |
| 結晶構造 | 立方晶系 ※２ |
| 抵抗率ρ/10^-8Ωm | 6.5 x 10^10 温度(θ/℃)800 ※３ |
| 誘電率、比誘電率εγ | 7.0 温度：室温 周波数/Hz 2x10^6 ※２ |
| 熱膨張係数 | - |
| 熱伝導率（cal/cm/sec/℃） | - |
| 比熱(cal/℃/mole) | - |
| 外観 | 白色、白色半透明 |
| CAS-NO | 1306-38-3 |
| 輸送情報 | 輸出貿易管理令（リスト規制非該当） |
参照文献
- ※１：［日本化学会編，“化学便覧 基礎編 改訂5版”，丸善（2005），p.Ⅰ-181］
- ※２：［日本化学会編，“化学便覧 基礎編 改訂5版”，丸善（2005），p.Ⅱ-624］
- ※３： 前掲 p.Ⅱ-612
専門誌等で発表されているCeO2の薄膜に関する研究論文
| 掲載誌 | Physica B 389(2007)263-268 |
|---|---|
| タイトル | "Effects of ion irradiation and annealing on optical and structural properties of CeO2 films on sapphire" |
| 著者 | M.Y.Chen, X.T.Zu, X.Xiang, H.L.Zhang |
| 概要 | サファイア基板上に成膜したCeO2をアニールした場合とN+イオン照射した場合の光学的、膜構造特性変化についての研究論文 |
| 掲載誌 | Solid State Ionics 165(2003)131-137 |
|---|---|
| タイトル | "Characteristics of e-beam deposited electrochromic CeO2 thin films" |
| 著者 | I. Porqueras, C. Person, C. Corbella, M. Vives, A. Pinyol, E. Bertran |
| 概要 | ITOガラス基板、シリコンウエハー、溶融石英、ガラスのそれぞれの基板に電子ビームで真空蒸着されたCeO2について、成膜中の酸素分圧、イオンボンバードの違いにより光学特性、膜構造、エレクトロクロミック特性にどのような違いが生じるか考察した研究 |
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