TiO2(二酸化チタン)の特性
TiO2は可視光域や近赤外域での代表的な高屈折率材料の一つで、低屈折率材料であるSiO2などと組み合わせて積層させたり、単層膜で使われたりします。この物質は特に成膜レート、酸素導入、基板温度に敏感で酸素を失いやすい傾向があります。TiO2膜は、出発原料が変わると応力も変わります。
TiO2は三種類の結晶系があり、ルチル、アナターゼ、ブルッカイトの形態をとっています。薄膜の状態ではブルッカイトが観察されることは稀で、ルチルの状態では複屈折し、アナターゼの状態で屈折率は2.6程度とされます。
光学損失や膜構造、膜質などを決めるのに成膜条件が大きく左右します。電子ビームが一般的に使われますが、TiOやTi3O5からTiO2膜が作られることもあります。イオンビームやプラズアシスト等を蒸着中に用いることで、より膜質が非晶質に使いものになるとされます。
屈折率 | 2.3 〜 2.55(550 nm近辺) |
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使用波長域 | 0.4 〜 3μm |
蒸発方法 | EB(電子ビーム) |
蒸発源材料 | タングステン、タンタル |
蒸発タイプ | 溶融蒸発 |
膜質 | 状況により非晶質、結晶質 |
応力 | 引っ張り |
主な用途 | 光学膜全般 |
理論密度 | 4.26g/cm3 |
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融点 | 1850℃ |
沸点 | 3000℃ |
性質 | 水溶性:不溶 耐薬品性(酸、アルカリ):硫酸、アルカリに可溶 ※1 |
結晶構造 | ルチル:正方晶系 ※2 アナタース:正方晶系 TiO6八面体が四つの稜を共有して三次元構造を形成する ※2 |
抵抗率ρ/10^-8Ωm | 1.2 x 10^10 温度(θ/℃)80 ※4 |
誘電率、比誘電率εγ | ルチル ε11=ε22 86 温度/℃:27 ε33=170 ※3 |
熱膨張係数 | - |
熱伝導率(cal/cm/sec/℃) | - |
比熱(cal/℃/mole) | - |
外観 | 白色 |
CAS-NO | 13463-67-7 |
輸送情報 | 輸出貿易管理令(リスト規制非該当) |
参照文献
- ※1:[日本化学会編,“化学便覧 基礎編 改訂5版”,丸善(2005),p.T-343]
- ※2:[日本化学会編,“化学便覧 基礎編 改訂5版”,丸善(2005),p.U-838]
- ※3:前掲 p.U-625
- ※4:前掲 p.U-612
専門誌等で発表されているTiO2の薄膜に関する研究論文
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概要 |
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