SECDの比重、成分、板厚、メッキ厚、降伏点などの物性と機械的性質|電気亜鉛メッキ鋼板の特徴と規格
SECDの特徴
SECDは電気亜鉛メッキ鋼板に分類される規格材料の一つで、絞り加工用に設計されたものとなります。メッキをつける前の原板には、冷延鋼板の一つでやはり絞り用の仕様となっているSPCDが用いられています。成形性や絞り加工性に優れた鋼板で、メッキをつけたあともその性能が継承されています。表面のすべりがメッキによって若干低下しますが、加工に大きく影響するほどではないため、SECDも依然、加工性には優れた鋼材となっています。
板厚の範囲は、0.4mmから3.2mmの間となっています。
成分上は、絞り加工に適した伸び値を上げるため、炭素量は0.10%以下に設定されており、極軟鋼に相当する鋼材です。
海外の規格ではISOにおけるHR2やHR3、HR4、CR2、CR3、CR4、CR5が類似する薄板となります。
SECDの板厚とメッキ厚
標準として、「表示厚さ」=板そのもの厚みが定められており、「製品厚さ」=メッキも含んだ厚さは計算で割り出すことになります。
SECDの比重
7.85が鋼板の比重となります。
SECDの成分と材質
SECDも含め、成分の規定は電気亜鉛メッキ鋼板にはありませんが、材質はすべて鋼です。メッキ前の原板に成分規定がある場合はそれが成分の値となります。下表から原板の規格も参考にしてください。
SECDの機械的性質
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 | 降伏点、耐力 N/mm2 |
引張強さ N/mm2 |
伸び(%) | 塗装焼付硬化量 N/mm2 |
試験片と方向 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
板厚 【表示厚さ(ミリ)】 |
||||||||||
0.40以上0.60未満 | 0.60以上1.0未満 | 1.0以上1.6未満 | 1.6以上2.3未満 | 2.3以上2.5未満 | 2.5以上 | |||||
SECD | - | 270以上 | 36以上 | 38以上 | 39以上 | 40以上 | 40以上 | 41以上 | - | 5号圧延方向 |
電気亜鉛メッキ鋼板の一覧|JIS G 3313 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯に規定されている材料記号一覧
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 | 板厚の範囲 | 元になる鋼板の種類 (熱延鋼板) |
想定される用途 |
---|---|---|---|
SEHC | 1.6ミリ以上4.5ミリ以下 | SPHC | 一般用 |
SEHD | SPHD | 絞り用 | |
SEHE | SPHE | 深絞り用 | |
SEFH490 | SPFH490 | 加工用 | |
SEFH540 | SPFH540 | ||
SEFH590 | SPFH590 | ||
SEFH540Y | 2.0ミリ以上4.0ミリ以下 | SPFH540Y | 高加工用 |
SEFH590Y | SPFH590Y | ||
SE330 | 1.6ミリ以上4.5ミリ以下 | SS330 | 高強度用 |
SE400 | SS400 | ||
SE490 | SS490 | ||
SE540 | SS540 | ||
SEPH310 | SAPH310 | 高強度用 | |
SEPH370 | SAPH370 | ||
SEPH400 | SAPH400 | ||
SEPH440 | SAPH440 |
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 | 板厚の範囲 | 元になる鋼板の種類 (冷延鋼板) |
想定される用途 |
---|---|---|---|
SECC | 0.4ミリ以上3.2ミリ以下 | SPCC | 一般用 |
SECD | SPCD | 絞り用 | |
SECE | SPCE | 深絞り用 | |
SECF | SPCF | 非時効性深絞り用 | |
SECG | SPCG | 非時効性超深絞り用 | |
SEFC340 | 0.6ミリ以上2.3ミリ以下 | SPFC340 | 絞り用 |
SEFC370 | SPFC370 | ||
SEFC390 | SPFC390 | 加工用 | |
SEFC440 | SPFC440 | ||
SEFC490 | SPFC490 | ||
SEFC540 | SPFC540 | ||
SEFC590 | SPFC590 | ||
SEFC490Y | SPFC490Y | 低降伏比型 | |
SEFC540Y | SPFC540Y | ||
SEFC590Y | SPFC590Y | ||
SEFC780Y | 0.8ミリ以上2.0以下 | SPFC780Y | |
SEFC980Y | SPFC980Y | ||
SEFC340H | 0.6ミリ以上1.6ミリ以下 | SPFC340H | 焼付硬化型 |
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