SECDの比重、成分、板厚、メッキ厚、降伏点などの物性と機械的性質|電気亜鉛メッキ鋼板の特徴と規格

2013年11月18日更新

SECDの特徴

SECDは電気亜鉛メッキ鋼板に分類される規格材料の一つで、絞り加工用に設計されたものとなります。メッキをつける前の原板には、冷延鋼板の一つでやはり絞り用の仕様となっているSPCDが用いられています。成形性や絞り加工性に優れた鋼板で、メッキをつけたあともその性能が継承されています。表面のすべりがメッキによって若干低下しますが、加工に大きく影響するほどではないため、SECDも依然、加工性には優れた鋼材となっています。

板厚の範囲は、0.4mmから3.2mmの間となっています。

成分上は、絞り加工に適した伸び値を上げるため、炭素量は0.10%以下に設定されており、極軟鋼に相当する鋼材です。

海外の規格ではISOにおけるHR2やHR3、HR4、CR2、CR3、CR4、CR5が類似する薄板となります。

SECDの板厚とメッキ厚

標準として、「表示厚さ」=板そのもの厚みが定められており、「製品厚さ」=メッキも含んだ厚さは計算で割り出すことになります。

SECDの比重

7.85が鋼板の比重となります。

SECDの成分と材質

SECDも含め、成分の規定は電気亜鉛メッキ鋼板にはありませんが、材質はすべて鋼です。メッキ前の原板に成分規定がある場合はそれが成分の値となります。下表から原板の規格も参考にしてください。

SECDの機械的性質

SECDの引張強度、耐力、板厚ごとの伸び
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 降伏点、耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び(%) 塗装焼付硬化量
N/mm2
試験片と方向
板厚
【表示厚さ(ミリ)】
0.40以上0.60未満 0.60以上1.0未満 1.0以上1.6未満 1.6以上2.3未満 2.3以上2.5未満 2.5以上
SECD - 270以上 36以上 38以上 39以上 40以上 40以上 41以上 - 5号圧延方向

電気亜鉛メッキ鋼板の一覧|JIS G 3313 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯に規定されている材料記号一覧

熱延鋼板が元になった電気亜鉛メッキ鋼板
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 板厚の範囲 元になる鋼板の種類
(熱延鋼板)
想定される用途
SEHC 1.6ミリ以上4.5ミリ以下 SPHC 一般用
SEHD SPHD 絞り用
SEHE SPHE 深絞り用
SEFH490 SPFH490 加工用
SEFH540 SPFH540
SEFH590 SPFH590
SEFH540Y 2.0ミリ以上4.0ミリ以下 SPFH540Y 高加工用
SEFH590Y SPFH590Y
SE330 1.6ミリ以上4.5ミリ以下 SS330 高強度用
SE400 SS400
SE490 SS490
SE540 SS540
SEPH310 SAPH310 高強度用
SEPH370 SAPH370
SEPH400 SAPH400
SEPH440 SAPH440
冷延鋼板が元になった電気亜鉛メッキ鋼板
電気亜鉛メッキ鋼板の種類 板厚の範囲 元になる鋼板の種類
(冷延鋼板)
想定される用途
SECC 0.4ミリ以上3.2ミリ以下 SPCC 一般用
SECD SPCD 絞り用
SECE SPCE 深絞り用
SECF SPCF 非時効性深絞り用
SECG SPCG 非時効性超深絞り用
SEFC340 0.6ミリ以上2.3ミリ以下 SPFC340 絞り用
SEFC370 SPFC370
SEFC390 SPFC390 加工用
SEFC440 SPFC440
SEFC490 SPFC490
SEFC540 SPFC540
SEFC590 SPFC590
SEFC490Y SPFC490Y 低降伏比型
SEFC540Y SPFC540Y
SEFC590Y SPFC590Y
SEFC780Y 0.8ミリ以上2.0以下 SPFC780Y
SEFC980Y SPFC980Y
SEFC340H 0.6ミリ以上1.6ミリ以下 SPFC340H 焼付硬化型

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