光学特性のnやkを調べる
薄膜の特性は、同じ材料であってもバルクとは異なることが大半で、特に光学特性は実際に薄膜にして分析してみないと実用的なデータを得ることは困難です。
実際に成膜をしたり、受託成膜サービスなどを利用してデータを取ることができればそれに越したことはありませんが、候補材料の数が多いとすべての材料を試すのは難しくなります。
また薄膜にする際の成膜手法にも特性は影響を受けるため、一つの材料についても複数の成膜をせねばならないことになり、あまり現実的な話ではなくなってきます。
そこで前段階の準備としては、文献やデータベースを活用した調査が必要となります。
薄膜の特性について考察した論文の多くは、英語で発表されている海外のものが大半ですが、理論的な考察を行ったものだけでなく、「こういう条件で薄膜を成膜したらこういう結果となった、その理由はこうである」といったタイプの研究も多く、初学者でも調査を行うのは容易です。
光学特性を調べるためのデータベース、文献
- セラミックス・セラミックス薄膜の光学特性データベース
- 産業総合研究所内の光学特性データベース。
- Database of Optical Constants
- 一部の金属や酸化物、硫化物、炭化物等の光学定数のレファレンス。
- loffe Physico-Technical Institute n,k database
- ロシアのヨッフェ研究所によるn値,kのデータベース。
光学特性についての論文を調べる
- google scholar
- 学術論文の横断的検索ができる。
- Science Direct
- エルゼビア社の運営する電子ジャーナル集。バックナンバーも含め、各種学術誌のタイトル、概要の検索ができる。
- PubMed
- 米国国立医学図書館(U. S. National Library of Medicine)が提供する、医学文献2次情報データベースMEDLINEを中核とする無料医学情報サービス。
- ISSN International Centre
- 海外専門誌の略称について調べられる。
- "Handbook of optical constants of solids"edited by Edward D.Palik Academic press
- 広範な材料について光学定数を網羅した文献。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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