真空度の単位
真空度という言葉は、一般に圧力領域によって低真空〜超高真空までが規定されていますが、成膜などで用いる真空は単に「圧力」などの数値では測れない要素も入ってくるため、表現の難しい概念です。真空を扱う業界の関係者の間では真空の「質」とも言われるこうした要素も、圧力だけでなく加味していく必要があります。圧力上は、良好な真空であっても、真空の質が悪いと思うように薄膜の品質を出すことができないことがあります。
単位としては、SI単位系ではPa(パスカル)が使われます。
JISによれば、真空度は4つに区分されています。
低真空 | 102 Pa 以上(100 Pa 以上) |
---|---|
中真空 | 102〜10-1 Pa(100〜0.1 Pa) |
高真空 | 10-1〜10-5 Pa |
超高真空 | 10-5 Pa 以下 |
またJISに記載はありませんが、極高真空(10-9 Pa 以下)という領域も使われることがあります。 成膜で用いられている「真空度」は、蒸着やスパッタであれば高真空か超高真空の領域で、CVDであれば低真空もしくは中真空となります。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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