DLCの成膜方法
DLCはダイヤモンドライクカーボンの略で、語弊を恐れずに言えばダイヤモンドのコーティングようなものです。ダイヤは炭素(C)を構成元素としていますが、この炭素をダイヤモンドに近い形で薄膜として人工的に作り出す技術がDLC膜の根幹を成すもので、ダイヤとまではいきませんが、高い耐摩耗性や耐薬品性などを実現することが出来る薄膜です。
DLCの成膜は、材料や薄膜をつける対象が工具等の立体形状が多いということもあり、光学用の真空蒸着による成膜装置が使われることは稀です。
PVD(スパッタ、イオンプレーティングを併用した蒸着)とCVD双方で成膜することが可能ですが、得られる特性が異なることや、使う装置も異なることから、用途によって使い分けられています。耐摩耗性を求められるのが形状の入り組んだ部品や工具が多い場合は、CVDによるものが主流のようです。
DLCそのものは、ダイヤモンドの膜というよりは、炭素とダイヤモンド、水素が複合的に合わさったような組成になっています。このあたりは成膜手法やその技術のさじ加減で変わってきます。水素が膜中に含まれるのが問題となる場合は、CVDではなく、PVDによる方法が向いています。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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