蒸着を英語で言うと
蒸着を英語で言うと"evaporation"となりますが、これは蒸発するの意味である"evaporate"と似ており、真空環境下で熱による蒸着であることを示すために"vacuum evaporation"、"thermal evaporation"といったフレーズで使われることのほうが多い模様です。
一昔前のヒーロー番組で、主人公が変身する際に「蒸着(じょうちゃく)」という掛け声を使っていましたが、この言葉の本来の意味は、薄膜を製造する技術の一つで、真空窯(チャンバー)の中で材料を分子レベルにまで気化させて、窯の上部に設置されているレンズや基板、部品などの表面に膜をつけていくというものです。
薄膜をつくる技術には、大きく分けると、何らかの方法で液体になった材料をつけるもの(液相成膜法)と、何らかの方法で薄膜材料を気体や分子に変えてつくるもの(気相成膜法)の二つが知られています。蒸着は、このうちの後者、気相成膜法に分類され、その中でも固体となっている材料に熱などを加えて気化させる手法であるため、物理的気相法またはPVDと呼ばれる技術になります。同じPVDに分類される成膜技術には、他にスパッタがあります。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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