シフトレス薄膜とは

2012年4月11日更新

薄膜は、その表面の構造上、水分などを吸って膜をつくったあとに徐々に光学特性などが悪くなっていくことがあります。これを光学特性が特定の方向へシフトするという言い方をします。シフトレスとはこうした経時変化の起きない、まさに理想的な薄膜のあり方であり、この薄膜を実現することが品質上の一つの目標となります。

薄膜が用いられる光学部品の多くは機器の内部に鎮座しており、ユーザーが直接触れたり、見たりすることが出来ないものも多いです。しかし、これらの小さなパーツが光学製品の生命線とも言えるもので、設計どおりの光学特性が発揮されなくなってくると、製品としても寿命を迎えることになります。中にはパーツの交換が困難であったり、ユーザー側でも一体どうして精度が悪くなったのか分からないケースもあるため、より長く、同じ特性を維持し続けることが重要です。パーツによっては定期的な交換を前提となっているものもありますが、一定期間、所与の特性を維持しなくてはならない点は変わりません。

このため、光学特性などが「シフトレス」である薄膜をつくるために、真空成膜装置メーカーなどでは技術開発・技術革新が行われ、蒸着材料メーカーなどでは、より光学特性がシフトしにくい薄膜を実現するための材料構造の改良などが行われています。

薄膜の特性【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

スポンサーリンク

>「シフトレス薄膜とは」の先頭へ

「成膜や薄膜、蒸着、スパッタのFAQ」の目次へ戻る

シフトレス薄膜の関連記事

透明導電膜とは
真空蒸着の原理
スパッタとは
受託成膜や成膜サービスを行っている企業の一覧
「めっき」を行っている企業の一覧
「溶射」を行っている企業の一覧
蒸着材料のメーカー一覧
スパッタリングターゲットのメーカー一覧
CVD材料のメーカー一覧

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集