蒸着材料の焼結品と溶融破砕品とは
焼結タイプのものは、材料を焼き固めたセラミックスで、いわゆる「焼き物」に近いものです。一方、結晶タイプのものは、溶融し、インゴットにした多結晶体を粉砕して使いやすい粒状にしたものです。材料によって焼結、結晶それぞれ一長一短あります。一般に、焼結体は溶けやすく、結晶体は充填率が高いです。純度は結晶体のほうが出しやすい傾向があり、4N以上になると結晶型のものが多くなりますが、焼結品でも出発原料の純度が高ければこのレベルに到達させることも可能です。
焼結と結晶(溶融破砕)の違いは成膜時にも出てきますので、現在の成膜条件に適合するほうを選ぶのが肝要です。材料の種類によっては、どちらかしか存在しないものもあります。
双方のタイプが市場に出ている材料であっても、焼結品か溶融破砕品のどちらがよいのかは意見の分かれるところです。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
スポンサーリンク