可視光波長領域とは
ほとんどの光学膜において、可視光が無縁となるケースは稀です。「可視」とは、つまり目に見える光の範囲のことを表しています。光は電磁波の一種という言い方も出来ます。狭義には、可視光のさらに外側にある目に見えない光を電波や電磁波と呼びます。
波長域で言えば、380nmから750nm程度の範囲を可視光の波長領域と言う事が出来ます。380nmよりも短波長にいくと、人の目では見ることの出来ない電磁波になります。さらに波長が短くなると、紫外線から放射線と呼び名が変わり、いわゆるエックス線やガンマ線となります。逆に波長が長くなると、近赤外線、中赤外線、遠赤外線となり、熱線となります。さらに長くなると、電波に呼ばれるミリ波(EHF)、センチ波(SHF)、極超短波(UHF)、超短波(VHF)、短波(HF)、中波(MF)、長波(LF)の順になってきます。こうした数々の電磁波を波長別に一本の線にすると、可視光波長領域というのは、ごく一部分であることが分かります。
光学薄膜の反射防止膜などでは、この可視光波長域での透過率を高め、いかに吸収や反射を抑えるかということがポイントとなります。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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