薄膜のブツやボツとは何ですか
いわゆる膜欠陥のひとつで、膜の表面に残ったピンホールやツブ状の突起、点のようなものがついたりする外観不良の総称です。肉眼でも確認できるレベルのものから、拡大しないと判別がつかないものまであります。レンズ等をはじめとする光学部品の多くでは許容できる範囲や大きさが決まっています。
近年は光学部品に対する精度要求、外観の基準は厳しくなる傾向にあるため、今までは問題にならなかったちょっとしたピンホールや膜に残った微細なブツやボツも、合格品とはならなくなってきています。こうした事情により、場合によっては歩留まりに影響するようになってきました。
ブツやボツの発生メカニズムは、いくつか考えられますが、成膜を行う過程で膜に出来てしまう場合がほとんどです。発生原因としては、蒸着装置などの成膜を行う装置内部で、材料が飛散する(突沸する)現象であるスプラッシュが激しく発生している場合、飛び散った材料の破片などが基板にあたり突起物のようになったり、ピンホールの原因になることがあります。また、クリーンルームの整備が悪く、成膜前の基板に塵や埃などのパーティクルが付着してそのまま成膜してしまう場合、あるいは成膜装置内部のチャンバーの清掃状態が悪く、他の物質がついてしまうケースなどが考えられます。また材料の純度不良や成膜条件との不一致などもこうした膜欠陥のおきる可能性のひとつです。
薄膜の特性【参考】
主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。
酸化物の薄膜
- Al2O3(酸化アルミニウム、アルミナ)
- CeO2(酸化セリウム)
- Cr2O3(酸化クロム)
- Ga2O3(酸化ガリウム)
- HfO2(酸化ハフニウム、ハフニア)
- NiO(酸化ニッケル)
- MgO(酸化マグネシウム、マグネシア)
- I.T.O(In2O3+SnO2)酸化インジウムスズ
- Nb2O5(五酸化ニオブ)
- Ta2O5(五酸化タンタル)
- Y2O3(酸化イットリウム、イットリア)
- WO3(酸化タングステン)
- TiO(一酸化チタン)
- Ti3O5(五酸化チタン)
- TiO2(二酸化チタン、チタニア)
- ZnO(酸化亜鉛)
- ZrO2+TiO2(複合酸化物)
- ZrO2(酸化ジルコニウム、ジルコニア)
フッ化物の薄膜
- AlF3(フッ化アルミニウム)
- CaF2(フッ化カルシウム)
- CeF3(フッ化セリウム)
- LaF3(フッ化ランタン)
- LiF(フッ化リチウム)
- NaF(フッ化ナトリウム)
- MgF2(フッ化マグネシウム)
- NdF3(フッ化ネオジウム)
- SmF3(フッ化サマリウム)
- YbF3(フッ化イッテルビウム)
- YF3(フッ化イットリウム)
- GdF3(フッ化ガドリニウム)
窒化膜
炭化膜
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