研磨材の種類
研磨材とは、砥粒とそれを含むスラリー、また砥石のことなどを総称したものとして使われることもある用語ですが、ここでは研磨材の肝でもある、対象を削っていく作用をもつ砥粒の種類を紹介します。
砥粒には、通常、ワークよりも硬い材料が選ばれますが、硬ければよいというわけでもなく、ワークの材質や工程やどの程度の仕上げにするのかよって使い分けていく必要があります。
砥粒を見るパラメータとしては、硬度のほか、形状、破砕性、結晶系、化学的安定性、毒性などの要素を加味して検討していく必要があります。砥粒と加工する材料との相性もあり、例えば、研削盤を使った高速研磨では、鉄鋼材料にダイヤモンド砥粒は相性がよくありません。
研磨材 | 化学式 | 特徴 |
---|---|---|
ダイヤモンド | C | ダイヤモンドには人造のものと天然のものがあります。工業用途では形状が安定している人造用のものが好まれますが、ドレッサーなどの一部の分野では天然ダイヤの人気も根強いです。事実上、最高の硬さを持ちますが、鉄鋼材料との相性が良くないため、高速で回転するなど高温になる環境ではcBNや他の一般砥粒が使われます。 |
cBN | CBN | 立方窒化ホウ素で、人工的に作られた砥粒です。ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。鉄鋼材料の加工によく使われます。 |
アルミナ | Al2O3 | 酸化アルミニウムのことで、αアルミナとγアルミナがあります。後者のほうが硬さは低くなります。用途に応じてWA(ホワイトアランダム)やA砥粒、HAなどグレードを使い分けることが一般的です。 |
炭化ケイ素 | SiC | C砥粒やGC砥粒もこの系統の研磨材で、アルミナよりも硬度は高いです。破砕性の関係で、どちらがよいかはその時々です。 |
炭化ホウ素 | B4C | SiCよりも硬度の高い砥粒となります。セラミックス系の基板や部材など高硬度用として使われることがあります。 |
ベンガラ | Fe2O3 | いわゆる酸化鉄のパウダー状のもので、古くからベンガラは研磨材として使われてきています。研磨力は硬度が低いため、あまり期待できませんが、仕上げに使われることがあります。赤褐色をしています。 |
酸化クロム | Cr2O3 | 研磨に使われるのは三酸化クロムで、緑色をしています。これも光沢を出したり、仕上げようとして検討される部類です。対象を削る力は弱いです。 |
酸化セリウム | CeO2 | 光学ガラスやガラス研磨には不可欠とも言われる研磨材です。ガラスととても相性が良い材料です。供給ルートが限られていることもあり、国家間の問題などで供給不安に陥ったこともあります。 |
酸化ジルコニウム | ZrO2 | 単体ではあまり使われることはないようですが、他の研磨材とまぜて使われることがあります。アルミナほど硬くはありませんが、セラミックス質の砥粒の一つです。 |
酸化チタン | TiO2 | 仕上げの工程用として、ポリッシングで使われることがあります。 |
二酸化ケイ素 | SiO2 | シリコン結晶の研磨などに使われたり、コロイダルシリカとしてCMP用にも使われることがあります。 |
酸化マグネシウム | MgO | 白色のセラミックス材料で、ポリッシング用として仕上げに使われることもあります。研磨力はあまりありません。 |
研磨材の種類による選択のポイント
研磨材を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
1. 用途に応じた選択
研磨材は使用目的に応じて選ぶ必要があります。例えば、金属の仕上げには酸化アルミニウムやダイヤモンドが適していますが、木材やプラスチックの場合は目詰まりしにくい研磨材を選ぶことが重要です。
2. 材料の硬度
研磨対象物の硬度に応じた砥粒を選ぶことが必要です。一般的に、研磨対象物よりも硬い材料を使用することで、効率的な研磨が可能になります。例えば、硬質材料にはダイヤモンドやcBNが適しています。
3. 粒度の選択
研磨材の粒度は仕上がりに大きな影響を与えます。粗い粒度は迅速な材料除去に適しており、細かい粒度は滑らかな仕上げを提供します。一般的には、粗目から細目へと段階的に粒度を変更していく方法が推奨されます。
4. 結合剤の種類
研磨材に使用される結合剤(ボンド)の種類も重要です。レジン、ビトリファイド、メタルなど、異なる結合剤はそれぞれ異なる特性を持ちます。用途に応じて適切な結合剤を選ぶことで、研磨効率や耐久性が向上します。
5. 耐摩耗性と寿命
長時間使用する場合には、耐摩耗性の高い研磨材を選ぶことが重要です。耐久性のある材料はコストパフォーマンスにも寄与します。
6. 形状とサイズ
研磨材の形状やサイズも考慮すべき要素です。狭い範囲を研磨する場合は小さくカットしたシート状のものが便利ですが、大きな面積を研磨する場合は電動工具用の大きな研磨材が適しています。
7. 目詰まり防止加工
木材や樹脂など目詰まりしやすい素材を削る場合には、目詰まり防止加工が施された研磨紙やフィルムを選ぶと良いでしょう。これにより、研磨能力が持続しやすくなります。
まとめ
これらのポイントを考慮することで、目的に合った研磨材を選択し、高品質な仕上げと効率的な作業を実現することができます。
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