刃物研磨について

2024年12月27日更新

刃物は家庭用の包丁やナイフのほか、工業用の刃物各種に至るまで多くの加工現場で使われる工具の一つです。

工業用のものは、ハイス鋼などの鉄鋼材料を主体にしたものが多く、他にも超硬刃を持つものや、ダイヤモンドを刃に用いている工具もあります。特長としては、砥石のように砥粒で削りながら切断する工具ではないため、あまり硬いもの、特に硬脆材料の切断にはあまり向きません。

こうした刃物も使っているうちに切れ味が低下してきますので、都度研ぎなおしていく必要があります。

刃物の場合、研ぐ部位が少ないケースもあり、そうした場合は鉄鋼材料であってもダイヤモンドを砥粒に用いた砥石が使われることがあります。また手で用いる刃物やナイフ類は鉄を含有する素材であっても、研磨時に高温にならないことから、ダイヤモンド砥石もよく使われます。

ダイヤは最も硬い物質として、産業上、欠かすことのできない材料として方方で使われていますが、熱に弱いという弱点があり、加えて鉄を含有するものとの相性が良くありません。具体的には、高温で使用していると、ダイヤモンドを構成している元素である炭素(C)が同じ元素で組成の違う黒鉛に変わっていき、それがさらに進むと炭化してしまいます。ダイヤは高温になるとどんどん硬さを失っていきますので、600℃を超えるほどの加工点ではクーラント等を用いて温度を下げていくことが課題となります。回転させている砥石が600℃になどならないと思われるかもしれませんが、高速で回転する研削盤や研磨盤では、加工している対象であるワークと砥石の接触点は時に1000℃近くなることもあります。それだけの負荷、摩擦熱がかかっているということになります。

したがって、鉄を含む材料で作られた刃物を研削盤や研磨盤での高速回転で用いる砥石で研磨する場合は、炭化ケイ素系の一般砥石(研削砥石)や、CBN砥石がよく使われます。

料理用の包丁やハンティングナイフ、カスタムナイフなどの一品モノの研磨には、天然砥石もよく使われます。こちらは産地によって性質が異なり、さらに言えば同じ産地でも使い心地が違うこともある砥石で、相性の良いものを見つけると無類の研ぎ心地を発揮するタイプです。

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