包丁の研磨

2024年12月27日更新

包丁の研磨には天然砥石やダイヤモンド砥石、人造砥石等がよく使われています。どのような包丁をどれくらい仕上げる必要があるのかによって砥石の選び方もさまざまですが、調理人など包丁を仕事で用いる人の多くは天然砥石を好む傾向があります。天然砥石は、山から採れる天然の岩石を適度な大きさにしたもので、特に人の手で砥石の性能を調整したりといったことは一切行われていません。産地によって固有の名称がついた天然砥石は、時に数万円、数十万円の値段がつくものもあります。天然の岩石を砥石として用いるのは包丁だけでなく、オイルストーンやアルカンサス等も同様ですが、こうした砥石は、人造のものと比べると数に限りがあるのと、同じ産地のものでも相性の良し悪しが変わることもあるため、「相性のよい」砥石を見つけるまでに時間と手間がかかります。一旦、相性の良い砥石を出会うと、他の砥石は使えないとまで言われますが、これらは仕事で包丁を使うのでなければあまり使う機会はないかもしれません。また片刃の包丁などでは、刃の入っていない側を平坦にする目的でダイヤモンド砥石が使われることもあります。

家庭用の包丁ではダイヤモンドシャープナーと呼ばれる電着ダイヤモンドの技術を用いた簡易な道具がよく使われています。これはダイヤモンドの砥粒を研磨材として使ったもので、メッキしたシートの上にダイヤモンドを電着という手法で固着させています。したがってしばらく使っているうちにこのダイヤ層がなくなるとつかうことができませんが、それまでは誰が使っても同じように研ぐことができるため、研ぎの技術や腕が必要ありません。家庭用で使うにはこれで十分とも言われますが、プロの研磨に比べると切れ味は劣ります。

人造砥石やダイヤモンド砥石でも角型のものを台において、刃物に手を添えて研いでいくオーソドックスな研ぎの場合、きれいに砥げるようになるにはコツがいります。また、グラインダーに取り付けて使う高速回転する研削砥石でも包丁を研ぐことがあります。こちらは家庭用というよりは業務用になりますが、技術を身につければ研ぐ本数が多い場合などに重宝します。

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