研磨材の硬度

2024年12月27日 2025年1月3日最終更新

研磨材にとって硬度は対象への切り込みを決める重要な指標ですが、これだけで性能が決まるわけではありません。硬度だけでなく、「割れ方」「割れやすさ」「砕けやすさ」といった要素が研磨には大切なものとなります。

実用的に、使われることの多い研磨材の硬度をモース硬度で一覧にしました。もっとも硬い研磨材はダイヤモンドで、CBNがそれに続き、炭化ケイ素、アルミナがそれに続いていきます。モース硬度ではダイヤを10とした基準のためわかりにくいですが、ダイヤと次点のCBN、炭化ケイ素の硬さの差はビッカース硬度などで計測するとかなり大きな値となります。

研磨材の硬度について
研磨材 化学式 モース硬度
ダイヤモンド C 10
cBN CBN
アルミナ Al2O3 8〜9前後
炭化ケイ素 SiC 9.5前後
炭化ホウ素 B4C 9前後
ベンガラ Fe2O3 6前後
酸化クロム Cr2O3 6〜7前後
酸化セリウム CeO2 6前後
酸化ジルコニウム ZrO2 6〜7前後
酸化チタン TiO2 5.5〜6前後
二酸化ケイ素 SiO2 7前後
酸化マグネシウム MgO 6.5前後

ビッカース硬度(HV)で各研磨材の硬さを示すと下表のようになります。ダイヤモンドがダントツに硬いことがわかりますが、硬ければ何でも適切に磨けるわけではない点が研磨や研削の面白いところです。なお、ダイヤモンドの研磨には同じくダイヤモンドパウダーを使用します。

研磨材 化学式 ビッカース硬度(HV) ロックウェル硬度(HRC)
ダイヤモンド C 8000〜10000 -
立方窒化ホウ素 (cBN) CBN 4700〜5000 -
炭化ケイ素 SiC 2500〜3000 -
炭化ホウ素 B4C 2800〜3500 -
アルミナ (酸化アルミニウム) Al2O3 2000〜2200 70〜75
酸化クロム Cr2O3 1500〜1700 -
酸化セリウム CeO2 600〜700 -
酸化ジルコニウム ZrO2 800〜1200 -
酸化チタン TiO2 500〜600 -
二酸化ケイ素 SiO2 700〜800 -
酸化マグネシウム MgO 600〜700 -
ベンガラ (酸化鉄) Fe2O3 300〜400 -

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