アクリル研磨について

2024年12月27日更新

アクリルは樹脂の中でもおおむね80℃以下で使うことが推奨されている部材で(低温の場合は−60℃以上)、温度の高い環境で使っていると軟化します。このため、機械で研磨するとその温度上昇により変形する場合があり、通常は切削加工したのち、手作業でサンドペーパー等を複数粒度用いて研磨していきます。

ポリカーボネート等に他の樹脂の中でも「透明度」が高い樹脂として知られるため、微細な傷を取りきってクリアな面に仕上げることが求められます。透明度がもともと高いがゆえに、小さいな傷が目立つという難点もあり、根気よく順番に粒度を細かいものに変えていく必要があります。傷の程度によっては粒度の細かいものやコンパウンド1種類だけでクリアな面を得ることができる場合もあります。またアクリル研磨の場合、最終仕上げに研磨ではなく、バーナーなどで加熱して表面を溶かしてしまう仕上げ方もあります。これはガス引きと呼ばれ、研磨とは異なる工程ですが、アクリル部材形状によっては応力によってクラックが起きることもあります。

切削加工で加工されたアクリルの中でも特に入り組んだ形状を持つ製品などは研磨が必須とされるわけですが、表面はかなりやわらかく、研磨材としてはサンドペーパーの他にもコンパウンドを使うこともあります。これらの材料としては、アルミナ系であるWA(ホワイトアランダム)を砥粒として用いたものが多く使われます。

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