砥石の面直しのタイミングと道具
砥石の面直しは、砥石の表面が凹んだり不均一になったと感じたとき、研磨や研削で思うように削れないときに行います。工業の世界では「ドレッシングする」「ドレスする」とも言います。
砥石も砥粒という「刃」が無数に表面から突き出している工具ですので、この刃がすり減って摩滅してしまうとうまく磨いたり削ったりすることができなくなります。
また砥石がワークにあたる面が意図した形状になっていないとワーク側も変な方向に削れてしまい、研磨面にうねりや凹凸ができてしまいます。
特に、包丁を研ぐ際には砥石の表面が平らでないと、研ぎの効果も低下します。一般的には、以下のタイミングで面直しを行うことが推奨されています。
以下のような状態になったときは面直しをする必要があります。
- 研ぎムラや刃物の引っかかりを感じる
- 砥石の表面が光って艶が出てきた
- 目詰まりにより研ぎ味が低下している
- 長期間使用していない砥石を使用する前
一定期間使用後
砥石を使用した後、特に包丁の研ぎが終わった直後に面直しを行うことで、次回の使用時に最適な状態を保てます。
凹みを感じたとき
砥石の表面に凹みや不均一さを感じた場合、すぐに面直しを行うことが重要です。
定期的なメンテナンス
砥石の使用頻度に応じて、定期的に面直しを行うことが望ましいです。特に、プロの料理人や頻繁に包丁を使う方は、面直しを定期的に行うことが推奨されます。
使用する道具
面直しやドレッシングには、以下のような道具が一般的に使用されます。
道具 | 内容 |
---|---|
生材 | 削りにくいワーク(例えば焼き入れしていない鉄鋼の生材など)をあえて砥石にあてて行う方法です。砥石表面を削り落として新しい砥粒が下から出てくることを期待して行う方法です。 |
専用ドレッサー | 機械加工で使用する砥石にはよく使います。ダイヤモンドホイールやcBNホイールなどの超砥粒を用いた砥石でも効果的に目立てや面直しができます。 |
面直し砥石 | 専用の面直し砥石を使用することで、効率的に砥石の表面を平らにできます。一般砥石の面直しであれば、ダイヤモンド砥石を使うのも効果的です。耐久性が高く、平面性を保ちやすいです。 |
サンドペーパー | 一時的な対策として、サンドペーパーを使用することも可能ですが、目詰まりしやすいため、あまり推奨されません。 |
他の砥石同士をこすり合わせる方法 | 同じ種類の砥石同士をこすり合わせて面直しを行うこともできますが、これには相性もあるので注意が必要です。 |
名倉石(なぐら) | 天然砥石の面直しに適しています。優しい面直しが可能で、仕上げ砥石のコンディショニングにも使用されます。 |
砥石の種類ごとの違い
砥石にはいくつかの種類があり、それぞれの特性に応じて面直しの方法や頻度が異なります。
水砥石
水を使って研ぐタイプの砥石で、使用後に水で洗浄し、面直しを行うことが一般的です。水分を含むことで、研ぎ粉が流れやすく、面直しもスムーズに行えます。
油砥石
油を使って研ぐタイプの砥石で、面直しには専用の道具が必要です。油が残ると研ぎに影響が出るため、使用後はしっかりと清掃する必要があります。
ダイヤモンド砥石
高い精度での加工や硬度のある材料の加工に適しており、一般砥石に比べて面は崩れにくいとはいえ、一定期間の使用でドレッシングが必要です。ダイヤモンドドレッサや生材、専用のドレッシング用砥石やドレッシングツールを使います。cBN砥石もこれに準じたドレス方法になります。
このように、砥石の面直しは使用状況や砥石の種類に応じて適切に行うことが重要です。
さらに、面直しを行う際には、砥石の表面を水で濡らすことが効果的です。これにより、研ぎ粉が流れやすくなり、よりスムーズに面直しが行えます。特に水砥石の場合は、使用後に水で洗浄することが一般的で、これが面直しの効率を高める要因となります。
また、油砥石を使用する場合は、油が残ると研ぎに影響が出るため、面直し後はしっかりと清掃することが必要です。油砥石は、油を使うことで研ぎ粉が砥石に付着しにくくなりますが、面直しの際には油を取り除くことが重要です。
ダイヤモンド砥石についても面直し(ドレッシング)の際は、水を使うことが推奨されます。ダイヤモンドホイールのような機械加工の場合も同様で、通常使用している研削液を用いて必要に以上に砥石表面の温度が上がることや摩滅、目詰まりを防ぐ意図があります。
なお、面直しの際の注意点としては以下が挙げられます。
- 必要以上に強い力をかけない
- 常に十分な水を使用する(研削液を使うのであれば通常使用しているものを使う)
- 砥石の種類に適した道具を選択する
- 定期的なメンテナンスを心がける
- 使用後は水分を十分に拭き取り、適切に保管する
適切な面直しは砥石の寿命を延ばし、より効率的な研ぎ作業を可能にします。特に初心者の方は、最初は控えめな力で作業を行い、徐々に適切な力加減を習得していくことをお勧めします。不明な点がある場合は、専門家に相談することで、より確実な技術を身につけることができます。
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