大理石床の手入れ

2024年12月27日更新

天然の大理石床は高級感がある反面、日々の歩行などで表面に細かい傷が無数につくと当初の輝きを完全に失い、傷み方がひどくなれば大理石なのかどうかもわからなくなってきます。天然の石材はその表面に肉眼ではほとんど見えない孔が多数あり、これらは石材の内部にもつながっています。頑強な石材の多くが時間が経つにつれて劣化してしまうのは、表面の傷だけでなく、この石の表面にある隙間に水が入ることで石が劣化していくからと言われています。このため、天然の石材の表面にはシーラー等の下地処理材でコーティングしたり、隙間や孔に薬剤を浸透させて水が入り込まないようにする等の処理を施します。

大理石床の手入れでは、酸性の洗剤やクレンザーなどは厳禁です。というのも大理石は酸にめっぽう弱く、オレンジジュースをこぼしただけでも放っておけば表面が荒れてしまいます。汚れなどは洗剤を使わずに落とせるのであれば、それが最もよいのですが、落ちない場合は中性の洗剤を薄めて様子を見ながら量を増やしていきます。こうした洗剤やクリーナーの類では落とせない汚れや、失ったしまった輝き自体を取り戻すには研磨が有効な場合があります。ただし研磨の場合、磨き砂などでも磨くことはできますが、大理石に適した研磨材ではない場合、表面に多数の引っ掻き傷だけを残して鏡面には戻らないということもあります。

大理石床の研磨には、ダイヤモンドを含有したダイヤモンドパッドと呼ばれる砥石を、ワックスがけ等に使うフロアポリッシャーに複数枚取り付けて、ワックスがけと同じような要領で床を研磨していきます。この際、水を用いた湿式による研磨が一般的です。床面に輝きがないのは、多くの場合、表面に微細な傷が多数ついているからで、これにより天井からの照明や周囲の光を反射させることができず、ツヤが完全に消失した状態となっています。

研磨は表面の凹凸を段々細かくしていく、という表面加工のため、傷の入っている深さと同等の研磨ができる粗い粒度から研磨を始めます。段階的に粒度の細かいものに変えていくことで、最終的に凹凸が限りなく小さいものになり、光をまた反射するような表面に戻ります。ただ、大理石のなかでも鏡面にしやすいものとそうではないものがあります。イタリア産のビアンコカラーラは研磨後に表面が梨地とよばれる、梨の表面のような地肌になることがあります。

大理石床を鏡面状態にまで研磨した後は、そのままでも定期的にメンテナンスすることで鏡面は維持できますが、シーラーなどで床面を薄くコーティングすると鏡面が長持ちします。ワックスも使われることがありますが、天然の大理石の風合いが人工的な感触に変わってしまうため、石材本来の色調を重んじるのであればワックスを使わず、シーラー等の下地処理をしたほうが無難です。なお、大理石床に何らかの研磨をする場合は、ワックスは完全に除去する必要があります。

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