鍋の研磨

2024年12月27日更新

おそらく、日常生活における研磨でもっとも馴染み深く、そして厄介な仕事となるのが鍋の研磨でしょうか。鍋は鉄製のもの、アルミ製のもの、ステンレス製のもの、鋳鉄製のもの、ホーロー製のもの、セラミックス製のものなどがありますが、いずれも「焦げ」によって表面に炭化物がこびりついてしまうと、物理的に磨いて落とすしかありません。

薬品という方法もありますが、安全性の問題や家庭で手軽に行えるかという点を見れば、やはり物理的に研磨して落とすのが一般的です。ただし、テフロンをはじめ、特殊なコーティングがなされている鍋に対しては、こうした研磨を行うことはご法度です。

陶器などのセラミックス系のものでも、表面に釉薬をはじめとするコーティングを施されているものは、ムリに研磨するとこれらがはがれてしまうことがあります。

いずれのなべの研磨でも、キズをなるべく浅くして焦げだけを落としたいところですが、これは炭化している上、金属表面に文字通りこびりついているため、まずはしばらく水につけておき、それからミガキを行うことになります。

目の細かいナイロンたわしや、サンドペーパーを併用してもきれいにおちますが、ステンレス製等の金属でできた「たわし」というものもあります。

ものによっては、なべの表面にかなりキズが入ってしまいますが、特殊なコーティングがないのであれば、ステンレスやアルミなどは空気と触れることで、なべの表面に錆に強い酸化膜が出来上がっていきます。

硬さでいうと、セラミックス系(陶器系)が一番硬く、ガラス系、ステンレス系、鉄系、アルミ系と続きます。いきなり強力な研磨力(研削力)をもつブラシや砥石、ペーパーなどを使わず、まずは粒度の細かい(番手の数字のもの)ものから試して、とれなかったら粗い粒度をもつものに切り替える等で表面に残る傷を最小限にする必要があります。キズだらけになってしまった鍋の表面を、段階的に粒度の細かいものに切り替えていき、キズを見えなくするというような作業は非常に骨がおれますので、コゲだけを除去して、周囲への被害が少なくなるような道具選びが肝要です。また料理に使うものですから、体に危険なものも使うのは避けたいところです。

研磨と研磨材の種類の記事一覧

スポンサーリンク

>このページ「鍋の研磨」の先頭へ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集