鏡の研磨について
鏡の研磨は、鏡そのものを製造する工程で用いる研磨と、通常の洗剤や拭き掃除では落とすことができない汚れを除去する目的の研磨の2種類があります。
前者は、鏡の製造工場で日々使われている研磨で、国内では大手の板ガラスメーカーやその委託先で製造されています。ガラス研磨用にどのような機械を用いているのかによって多少の違いはありますが、大型のガラスをラインで流しながら、板硝子が通り終わると研磨が完了しているというパターンが多いです。つまるところ、鏡と言うよりはガラスの研磨になるわけですが、板の面を研磨する工程と、縁の部分にテーパー(傾斜)をつける面取り加工に分類される研磨工程があります。液体状の研磨材である遊離砥粒を使う工程と、ダイヤモンドホイール等をはじめとする高精度を持つガラス研磨用の砥石が用いられる場合があります。研磨材(砥粒)の種類としては、面取りではダイヤモンドやセリウムが主に使われます。広範な面の研磨そのものにはダイヤモンドをスラリー状にして使うということはあまりありません。
いわゆる鏡についた水垢などを落とすための研磨のほうは洗面台、化粧台、浴室などの鏡で使われます。研磨は物体の表面に傷を付けていくものなので、製造時のような粗い粒度の研磨材や砥石を使うことはありません。いわゆる#3000クラスか、その前後のものがよく使われているようです。
水垢はスケールもしくはウロコとも言われますが、水の中に含まれているミネラル分(カルシウムやマグネシウム塩等)が凝固したもので、水が頻繁にかかり、かつ乾いたり濡れたりする場所で多く発生します。これは屋内屋外を問わずに発生します。温泉などのミネラルを多く含む水では余計に発生しやすく、また軟水、硬水の違いでも発生するスケール(水垢)の質が違います。また雨水や大気中に含まれる汚染物質もこの水垢の元になるとも言われており、屋外のガラスにこすっても落ちない白いウロコ状の汚れがついてしまいます。
一旦この水垢がスケール化してしまうと、鱗のように鏡の表面について洗剤や薬品では落とすのが難しくなります。落とすことができる薬品もありますが、ガラス表面の焼けや廃液の処理等を考えると、手軽な研磨が選ばれることが多いようです。
ガラスや鏡の水垢、ウロコ取りのほとんどは市販されている研磨パッドを使いますが、これにはダイヤモンドが含有してあるものと、フェルトなどに別途研磨材をつけて磨きこむものとがあります。強固な水垢そのものを削り取ってしまうという原理です。基本的にはこうした研磨はすべて湿式、つまり水をかけながら行います。研磨の多くは水等をかけて潤滑性をあげたほうが効率的に作業できます。
研磨パッド等を用いた場合、ガラスや鏡の表面への傷が気になるところですが、粒度が細かく設定されているものであれば目視で傷が確認できることは稀です。製造された当時の新品と同等の仕上がりが期待できます。また、水垢、スケールの他、鏡には油膜がついて清掃が困難になっているケースもあります。こうした場合も鏡の表面を丁寧に水洗いして砂やホコリなどを取り除いた後、フェルトパットに専用の研磨材をつけて、水をかけながら磨くことで除去することができます。
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