漆器研磨について

2024年12月27日更新

漆器や漆製品は日本が誇る伝統工芸の一つで、その歴史は5000年以上も前に遡ります。漆をつける目的としては、美的な事由だけでなく、実用面でも、耐久性を上げることができるからと言われています。また破損した漆器工芸同士を接着させる、あるいは接着剤そのものとしても使うことがあります。

漆工芸は日本だけのものではありませんが、日本国内だけでも各地域で固有の技術を持ち、製作・継承されています。

漆器の研磨は、漆を塗っていく過程で行う研磨のことで、古来より天然製の砥石、木炭、角粉(鹿の角等)などが使われていました。近年になってこうした天然素材由来によるものが入手しにくくなる等の事由で、人造の砥石、合成炭、合成の呂色磨粉等が使われるようにもなっています。また市販の耐水ペーパーでも加工は可能ですが、耐久性や研削能力などの面でそれぞれ一長一短あります。粗工程では研磨材を使い、仕上げでは磨き粉を使います。

合成砥石のなかでもPVA(ポリビニールアルコール)をボンドとした弾性砥石は炭と比べると漆器の研磨では研削能力にやや劣る部分があり、耐水ペーパーは持ちの面で劣ります。また角粉は砥石の刃の大きさとも言える粒度の大きさが天然ゆえにばらつきがあります。

実際、漆器の研磨を職業的に行うのは漆器工芸に携わる人がほとんどで、金継ぎ師、指物師、塗師、呂色師などで、合成砥石のほうがよいという方もいれば、天然ものに限るという方まで様々です。

漆器用の研磨材に求められる性能としては下記があげられます。

  • 炭と同等の研削能力、水平研削能力
  • 目詰まりやからみが起きない
  • 深い傷がつかない

また磨き粉に求められる性能としては、

  • 深みのある艶に仕上がる
  • 磨き時点でのからみつきが無い
  • 摺漆を楽に落とせるような研磨力

等があります。

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