研磨材の規格について

2024年12月27日 2025年1月3日最終更新

JISで定められている研磨材の規格とは、すなわち粒度の規格のことで、砥粒の大きさについて、ある種類と用途に限られた形で決められています。

他の規格としては、ダイヤモンドホイールなどのダイヤモンド工具やcBN工具についての規格があり、これによって安全基準や記号、用語などの統一がはかられており、メーカーが異なっても記号などからある程度の同定を行うことが可能になっています。ただし、メーカーが変わると使用感が変わったり、仕上げに影響が出るのは「研磨材の粒度」の項目で述べた通り同じです。

研磨材にかかわる規格の一覧表
JIS規格番号 規格名称
JIS R 6001:1998 研削といし用研磨材の粒度
JIS B 4130:1998 ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBNと(砥)粒の粒度
JIS B 4131:1998 ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBNホイール
JIS B 4138:1998 ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBNセグメントソー
JIS B 4140:2006 ダイヤモンド及びCBN電着工具
JIS B 4141:1998 ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBNホイール及びセグメントソー−寸法記号及び形状記号
JIS B 4142:2002 ダイヤモンド/CBN工具−安全性要求事項
JIS B 4051:2002 研削といしの選択標準
JIS B 4052:2008 自由研削用といしの選択標準

ISOやFEPA、ANSIでの規格もあります。

規格番号 正式名称 制定年 内容
JIS R 6001-1 研削といし用研磨材の粒度 - 第1部:粗粒 2017年 研削といし用の粗粒研磨材の粒度を定める規格。
JIS R 6001-2 研削といし用研磨材の粒度 - 第2部:微粉 2017年 研削といし用の微粉研磨材の粒度を定める規格。
JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度 2000年 研磨布紙用の研磨材の粒度を定める規格。
JIS B 4130 ダイヤモンド/CBN工具 - ダイヤモンド又はCBNと(砥)粒の粒度 1998年 ダイヤモンド及びCBN工具に使用される砥粒の粒度を規定する。
JIS B 4141 ダイヤモンド/CBN工具 - ダイヤモンド又はCBNホイール及びセグメントソー - 寸法記号及び形状記号 1998年 ダイヤモンド及びCBNホイールの寸法と形状について規定する。
ISO 6106 Abrasive products - Grain sizes of diamond or cubic boron nitride grinding wheels - ダイヤモンドまたはcBN砥石に使用される砥粒サイズを規定する国際規格。
FEPA P規格 European Federation of Producers of Abrasives Standards (FEPA) - 欧州における研磨材の標準化を目的とした規格。粒度表記はPで始まる。
ANSI B74.18-2000 Abrasive Grains - Grading System for Abrasive Grains and Powders 2000年 アメリカにおける研磨材のグレーディングシステム。
JIS R 6210 ダイヤモンド工具 - ダイヤモンドホイール及びセグメントソー - 寸法記号及び形状記号 1998年 ダイヤモンド工具に関する寸法や形状記号を定めた規格。
JIS B 7420 限界プレーンゲージ - ダイヤモンド工具及びCBN工具に関する基準 2005年 ダイヤモンド及びCBN工具における限界プレーンゲージについて規定。

JISとFEPAの違いについて

研磨の分野ではFEPAの規格が使われることがあります。

JIS(日本産業規格): 日本国内で制定された標準規格で、特に日本市場向けに設計されています。 日本国内で流通する製品に対して適用され、国内メーカーが遵守することが求められます。

FEPA(European Federation of Producers of Abrasives)規格: 欧州における研磨材の標準化を目的とした国際的な組織によって制定された規格です。 FEPAは、国際的な取引や製品の互換性を考慮しており、特に欧州市場向けに適用されます。

主な違い:

  • 地域: JISは日本国内向け、FEPAは欧州及び国際向け。
  • 粒度表記: JISでは#(シャープ)を使用する場合が多く、FEPAではP(パウダー)を使用します。
  • 適用範囲: JISは日本市場に特化した基準であり、FEPAは国際的な標準として広く受け入れられています。

これらの違いを理解することで、適切な規格に基づいた製品選択や品質管理が可能になります。

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