青棒、白棒、赤棒の違い

2024年12月27日更新

青棒、白棒、赤棒はいずれもバフ研磨などに使用する研磨剤で、油脂材料に研磨成分が練りこまれて棒状に加工されているため、回転する工具の表面に塗りつけて使います。状況によってはこれら棒から少し削りおとしたものを加工対象となるワークの上にまいてから、回転工具でワークに練りこむようにして研磨していくこともあります。これら三種の研磨剤の違いは、青、白、赤それぞれで使われている砥粒の種類の違いでもあります。

バフ研磨に使うため、粒度や番手は不詳

通常の砥石と違って、これら「棒」の名称についた研磨製品は、油脂でごく細かい砥粒を固めたものです。いずれも、仕上げか、中仕上げに使うもので、粗めから実施するような深めの研磨、研削といった用途には本来使えません。そもそも、青棒、白棒、赤棒についても粒度や番手といった砥粒の大きさを明示していない製品がほとんどで、ごく細かい砥粒を使っていることが伺えます。青棒であれば酸化クロムですが、粒度換算では#10000を超えているようなパウダー状のものと推測されますが、各メーカーのノウハウであるため、練りこむ砥粒の粒度はほとんど公開されていません。

バフ研磨自体が、研磨のなかでは最終工程に位置づけられるものです。そのバフ研磨の中で粗い順にあげていくと、赤棒、白棒、青棒となり、削る力が強いのは赤棒>白棒>青棒となります。

青棒、白棒、赤棒の違い
種類 特徴
青棒 酸化クロムが研磨剤の主成分。研磨力、つまり削る力は三種のなかでもっとも低いが、仕上げに適しており、ステンレス等の鏡面仕上げに用いると美しい表面を作り出すことができる。
白棒 アルミナ、つまり酸化アルミニウムが研磨剤の主成分。研磨力は青棒よりも強く、粒度(番手)もメーカーによって豊富なものが用意されている。中仕上げから仕上げに適している。
赤棒 現在はシリカが研磨剤の主成分のものが主流だが、昔はベンガラと呼ばれる酸化鉄が使われているものもよく使われた。酸化ケイ素を主成分にするトリポリの名称で市場では出回っており、粗から中仕上げに適している。

一般には、赤→白→青の順で研磨力、研削力が弱くなっていくため、赤からはじめて青で〆るというイメージがありますが、これは同一の粒度のものを使ったという前提の話です。白→青、赤→青という組み合わせのみで使われることもあれば、白棒だけ、青棒だけという使い方もあります。

青棒、白棒、赤棒は販売元によっては、粒度や番手が明確に記載されていませんが、まれに粒度が記載されている場合は、複数の色違いのものを併用する際には、前工程に必ず後工程よりも粗い粒度を持つ研磨剤を使う必要があります。これを守らないとせっかく磨いた表面を、また粗い研磨剤であらしてしまう結果となります。

研磨と研磨材の種類の記事一覧

スポンサーリンク

>このページ「青棒、白棒、赤棒の違い」の先頭へ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集